2006 年 52 巻 1Supplement1 号 p. S66-S70
誤嚥性肺炎を起こした頸髄損傷 (以下頸損) 者8例を検討した。1年未満の短期頸損歴を有する5例 (以下短期群) は、全例頸椎前方固定術を施行されており、年齢にかかわらず若年者でも非若年者でも嚥下障害を起こすと考えた。これに対し、1年以上の長期頸損歴を有する3例 (以下長期群) は、全例頸椎前方固定術を施行されておらず、57 歳以上の非若年者のみであった。短期群と長期群とでは発症要因に相違があると考えられた。若年頸損者の嚥下障害の予後は良好であるが、難治性の無期肺を合併した症例では嚥下障害の予後は不良であった。非若年完全四肢麻痺者の嚥下障害の予後は不良であった。加齢による影響が考えられた。年齢を問わず、車いす座位の耐久性や上肢帯・頭頸部の抗重力活動の改善した症例では、経口摂取が可能になったが、改善しなかった症例は経口摂取が可能にならなかった。