耳鼻と臨床
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鼻副鼻腔および眼窩に連続する腫瘤を形成した成人T細胞白血病の1例
菅村 真由美宮城 司道中川 尚志加藤 寿彦宮本 佳奈松原 不二夫
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キーワード: 鼻副鼻腔腫瘍, 眼球突出
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2006 年 52 巻 6 号 p. 342-346

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抄録

成人T細胞白血病 (ATL) はヒトTリンパ球1型ウィルス (HTLV-1) を原因とする疾患である。われわれは急性型ATLで鼻腔と副鼻腔に腫瘤を形成したまれな症例を経験したので報告する。60代の男性が左眼の失明と左眼瞼の浮腫を主訴として来院した。正常外観の粘膜に覆われた柔らかい黄白色の腫瘤が左中鼻道にみられた。画像検査にて腫瘤は主に鼻腔、副鼻腔を占拠し、左眼窩へ進展していた。鼻腔からの組織学的検査により異型リンパ球の増生が認められ、び漫性悪性リンパ腫が示唆された。免疫組織学的検査では、腫瘍細胞においてLCA、UCHL-1、CD3とCD4が陽性で、L26およびCD8は陰性であった。ATL細胞が末梢血にみられた。上記検査結果と臨床経過よりATLの急性型と診断された。

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