耳鼻と臨床
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[第29回日本嚥下医学会]内視鏡による探触子を用いた咽喉頭感覚の検査法の開発
谷口 洋藤島 一郎大野 友久
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2006 年 52 巻 6Supplement4 号 p. S256-S262

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抄録

嚥下への咽喉頭感覚の関与はいまだに不明な点が多いが、その一因は咽喉頭感覚の検査法が確立していないことである。今回われわれは、内視鏡による新しい感覚の検査法を開発した。同検査法の有用性について検討したので報告する。嚥下障害のない健常若年者9人と健常高齢者9人を対象とした。探触子孔を有する喉頭内視鏡: XENF-DPと先端に太さの異なるナイロン糸を装着した4種類の探触子を本研究のためにオリンパス社と共同開発した。鼻腔へ局所麻酔した後に内視鏡を中咽頭まで送り込み、探触子孔から探触子を挿入して先端のナイロン糸を喉頭蓋の喉頭面と披裂部へ接触させた。接触を感知したかは自覚所見と他覚所見 (喉頭内転筋反射) で判定した。細いナイロン糸から検査を始めて、感知できる最も細いナイロン糸を感覚閾値とした。若年者、高齢者とも検査部位によって感覚閾値に差はなかった。高齢者は若年者に比べ喉頭蓋で有意に感覚閾値が高かった。自覚所見と他覚所見は高い一致率を示した。有害事象は認めなかった。本法は簡便で臨床的に実施可能な感覚検査と思われた。今後は臨床場面で嚥下障害例に使用して検討を重ねたい。

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