2006 年 52 巻 6Supplement4 号 p. S291-S295
誤嚥症状を伴う一側性反回神経麻痺症例16例に甲状軟骨形成術1型を施行し、術後の嚥下の改善について検討した。喉頭内視鏡検査と嚥下造影検査に加えて、誤嚥および摂食状況の評価にそれぞれ、才藤らの「摂食・嚥下障害の臨床的病態重症度」と藤島らの「嚥下障害グレード」を用いて検討した。16例中14例において誤嚥症状の改善が認められ、12例において摂食状況の改善が認められた。術後の最大発声時間の長い症例では誤嚥症状が改善している傾向があった。甲状軟骨形成術1型は気息性唄声を改善する方法として広く行われる趨勢にあるが、嚥下機能改善にも高率に有用であることが確認された。