抄録
2000年から2006年までに、Wallenberg症候群をはじめとする咽頭クリアランスの低下した症例のうち、輪状咽頭筋切断術を含む外科的治療を施行した嚥下障害例12例について、その効果を評価するとともに、本術式が無効であった症例に対して病態の再評価を行い、その適応についてretrospectiveに検討した。輪状咽頭筋切断術を含む外科的治療が無効であった3例の術後の嚥下透視所見は、いわゆる嚥下運動不全の状態であり、いずれも上位中枢を含めて延髄外側を越えた梗塞病変を有していた。以上より、術前の嚥下透視から嚥下の惹起性を正確に評価することにより、本術式の適応を厳密に検討するとともに、手術を選択した際にも到達目標の設定を下方修正するなどして、当初より代替栄養摂取法の併用も考慮する必要があると考えられた。