抄録
聴器癌の治療主体は手術であるが、治療方法を決定する上で、まず外科手術が適応されるか否か、次いでどのような手術術式を選択するかが第一の問題として挙げられる。この時点で最も重要なものが画像診断である。聴器癌についてはいまだTNM分類が定まっていないが、案として出されている分類法においても、画像診断が最も重要な判断材料とされる。特にその中心となるものは側頭骨単純ターゲットCTであり、側頭骨外側切除ないし亜全摘のどちらを行うかはこれによって決定される。MRIや造影CTは腫瘍の軟部組織への進展の判断に必要であり、さらに血管造影、PETなども手術適応の的確な判断・手術方針の決定などに有用である。これらの画像所見を組み合わせ、手術適応および最良の術式を最終決定することが重要な戦略的治療である。