2000年-2007年に癌研究会附属病院にて原発巣切除を含む手術を施行した化学療法,もしくは化学放射線治療後の頭頸部扁平上皮癌症例を対象として,手術切除標本を用いた治療効果の検討を行った。治療効果の判定は,頭頸部癌取扱規約内の組織学的治療効果判定を基にして行った。どちらの症例も臨床的効果判定と組織学的治療効果判定に相違がみられ,臨床的効果判定の精度の向上の必要性が指摘された。また今回の病理標本では, 4通りの治療後残存癌巣の分布様式を指摘することができ,それを提示した。術前治療効果から,原発巣の切除範囲の縮小を行ってよいかどうかを確実に判断することは困難であるが,縮小できたであろう症例も含まれていた。術前治療により切除範囲の縮小の可能性も否定できず,今後検討が必要であると考えられた。