日本耳鼻咽喉科学会会報
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原著
前頭部・顔面皮膚悪性腫瘍リンパ節転移に対する郭清範囲についての臨床的検討
千々和 秀記進 武一郎坂本 菊男梅野 博仁中島 格
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2007 年 110 巻 3 号 p. 103-106

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抄録
2000年1月から2004年6月までに久留米大学病院耳鼻咽喉科で前頭部・顔面皮膚悪性腫瘍に対し頸部郭清術を行った10症例を対象とし, 頸部リンパ節転移部位やリンパ節に対する治療内容を調査し, 頸部郭清範囲の妥当性について検討した. 手術方法は選択的頸部郭清術のみが2例, 耳下腺浅葉切除+選択的頸部郭清術が5例, 耳下腺浅葉切除+全頸部郭清術が3例であった. このうち結果的に上内深頸領域に転移を認めた症例が3例, 再発を含め耳下腺リンパ節に転移を認めた症例が3例であった. また前頭部悪性黒色腫に対し腫瘍周囲にパテントブルーを注射し, センチネルリンパ節を確認した結果, 耳下腺表層および上内深頸領域に流れるリンパ流が確認できた. すなわち前頭部・顔面皮膚悪性腫瘍のセンチネルリンパ節は耳下腺リンパ節および上内深頸部リンパ節に見出される可能性が高いと考えられた. また前頭部・顔面皮膚悪性腫瘍に対する郭清範囲は耳前部, 耳下部リンパ節を含む耳下腺浅葉切除+選択的頸部郭清術が妥当と考えられた.
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© 2007 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
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