日本耳鼻咽喉科学会会報
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原著
閉塞型睡眠時無呼吸症候群の診断におけるセファロメトリーと咽頭視診の有用性
北村 拓朗坂部 亜希子上田 成久塩盛 輝夫宇高 毅大淵 豊明鈴木 秀明
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2008 年 111 巻 11 号 p. 695-700

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抄録

【目的】精度の高い閉塞型睡眠時無呼吸症候群 (OSAS) 一次スクリーニングの手法作成の一環として, 側方頭部X線規格写真 (セファロメトリー) および咽頭視診によるOSASの診断能について検討を行った.
【方法】成人男性患者171名について, セファロメトリー, 咽頭視診 (Modified Mallampati grade; MMP, 口蓋扁桃肥大の程度) の評価を行い, AHIと相関の高い項目を検索した. この結果を基に 1) セファロメトリーの項目のみ, 2) 咽頭視診の項目のみ, 3) セファロメトリーと咽頭視診両方の項目, を用いた3条件でのAHIの予測式を算出した. これらの予測式のOSAS診断能について, receiver operating characteristic (ROC) 曲線を用いて比較検討を行った.
【結果】AHIと相関の高い項目は, 舌骨低位の程度を表すMP-Hおよび軟口蓋, 口蓋垂の長さを示すPNS-P, MMP, 口蓋扁桃肥大であった. セファロメトリー単独, 咽頭視診単独, および双方を組み合わせた項目にBMIを加えたAHI予測式の診断能を比較した結果, 咽頭視診単独よりも, セファロメトリー単独での診断能が高く, さらに両者を組み合わせた場合, 診断能力が向上した.
【結論】セファロメトリーと咽頭視診を組み合わせ, 上気道形態を3次元的に評価することでOSASの診断精度が向上した.
顎顔面形態, 咽頭形態にOSASを疑う所見がある場合, 積極的に生活指導・教育を行う事はOSASの発症予防, 早期発見・早期治療という観点から重要であると考えられた.

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© 2008 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
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