2009 年 112 巻 10 号 p. 712-717
喉頭癌の病理組織型の95%以上が扁平上皮癌であり, 非扁平上皮癌は極めてまれである. 今回, 呼吸困難を期に発見された声門下原発腺扁平上皮癌の1症例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告した. 症例は37歳男性で, 進行性の呼吸困難を主訴に近医受診. 原因不明の声門下腫脹を示摘されるも放置. 自宅で突然呼吸停止となり, 救急搬送先で緊急気管切開術を施行. CT上声門下腫瘍を疑われ紹介. 喉頭截開術により生検を行い, 声門下原発腺扁平上皮癌の診断となる. 喉頭全摘術, 両頸部郭清術, 術後放射線治療を行ったが, 治療開始後4年後に肺転移を生じ, 7年6カ月後に全身転移のため死亡となる. 本例はわれわれの渉猟し得た限り喉頭原発例としては33例目の報告である.