日本耳鼻咽喉科学会会報
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原著
Floppy epiglottisにより上気道閉塞を来した筋萎縮性側索硬化症の2症例
伊藤 恵子千年 紘子小林 麻子
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2009 年 112 巻 9 号 p. 660-664

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抄録

筋萎縮性側索硬化症 (amyotrophic lateral sclerosis, 以下ALSと略) は運動ニューロン変性疾患の一つで, 呼吸筋麻痺による呼吸不全や嚥下障害による誤嚥性肺炎を来す予後不良の疾患である. 今回われわれは喉頭蓋が上気道を閉塞した2症例を経験した. 喉頭蓋が吸気時に後方へ傾いて咽頭後壁に接触する所見を認め, その後, 喉頭蓋が喉頭腔を塞いだため気管切開術が施行された. ALSの呼吸障害の原因として, 呼吸筋麻痺による呼吸障害のほかに上気道レベルでの閉塞も考えられ, 呼吸障害が出現したときには喉頭を内視鏡でよく観察する必要があると考えられた.

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© 2009 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
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