2011 年 114 巻 1 号 p. 1-6
生体防御を担う免疫系は自然免疫系と獲得免疫系から成り立っている. 抗原を非自己として認識する獲得免疫系に対し, 自然免疫系では, Toll-like receptor (TLR), RIG-I-like receptor (RLR), NOD-like receptor (NLR) などのパターン認識受容体が, 私たち哺乳類には存在せず, 微生物の生命維持に必須の構造を認識していることが明らかになってきた. これらパターン認識受容体による自然免疫系の活性化が, 抗原特異的な獲得免疫系の活性化も制御し, 生体防御を担っている. さらには, 自然免疫系の過剰活性化が, 種々の免疫疾患の発症にも関与していることが明らかになりつつある.