日本耳鼻咽喉科学会会報
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114 巻 , 1 号
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総説
  • 竹田 潔
    2011 年 114 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル フリー
    生体防御を担う免疫系は自然免疫系と獲得免疫系から成り立っている. 抗原を非自己として認識する獲得免疫系に対し, 自然免疫系では, Toll-like receptor (TLR), RIG-I-like receptor (RLR), NOD-like receptor (NLR) などのパターン認識受容体が, 私たち哺乳類には存在せず, 微生物の生命維持に必須の構造を認識していることが明らかになってきた. これらパターン認識受容体による自然免疫系の活性化が, 抗原特異的な獲得免疫系の活性化も制御し, 生体防御を担っている. さらには, 自然免疫系の過剰活性化が, 種々の免疫疾患の発症にも関与していることが明らかになりつつある.
  • 丹生 健一
    2011 年 114 巻 1 号 p. 7-14
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル フリー
    日本頭頸部外科学会が母体となり, 平成21年4月より耳鼻咽喉科専門医のサブスペシャルティーとして頭頸部がん専門医制度が発足した. 本制度の基本理念は, 耳鼻咽喉科・頭頸部外科に関する熟練した技能と高度の専門知識とともに, がん治療の共通基盤となる基本的知識と技術, 医療倫理を併せ持ち, 頭頸部がんの集学的治療を実践する能力を養成することにある. 頭頸部領域はQOLに大きく関わっており, 外科的治療, 薬物療法, 放射線治療などを組み合わせた治療が行われることが多い. 頭頸部がん専門医には, そのチームリーダーとしての役割が求められる. 診断から終末期まで, がん治療の全相における幅広い経験や知識, 患者とのコミュニケーション能力, そしてコーディネーターとしての調整能力が必要である. 一方, 外科的治療は依然として頭頸部がん治療の大きな柱であり, その治療を自ら担当する頭頸部がん専門医にとっては最も重要な能力である. 専門医の認定にあたっては, 頭頸部がんの入院治療100例以上, 頭頸部がんの手術経験50件以上 (術者として) に加え, 外科的治療の基本である頸部郭清術を特に重視し, 頸部郭清術を助手として20側以上・術者として20側以上と, 必要経験症例数を決定した. さらに, これらの技術を集中的に学べるように, 5年間の頭頸部がん診療研修中, 頭頸部がんの年間新患数100例以上の指定研修施設で2年間の研修を行うことを義務付けている. 本原稿執筆時点で, 257名が暫定指導医として, 127施設が指定研修施設として認定された. 昨年9月には第1回頭頸部がん専門医認定試験が行われ, 165名が受験した. 本制度の発足が, 頭頸部外科を目指す耳鼻咽喉科医の増加, 大学・施設横断的な頭頸部外科医育成システムの構築, 頭頸部癌診療施設の集約化など, 頭頸部がん診療の今後の発展につながることを大いに期待している.
  • 鈴木 光也
    2011 年 114 巻 1 号 p. 15-23
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル フリー
    superior canal dehiscence syndrome (上半規管裂隙症候群) とは, 上半規管を被っている中頭蓋窩天蓋や上錐体洞近傍の上半規管周囲に骨欠損を生じ, 瘻孔症状, Tullio現象, 難聴などさまざまな臨床症状を来す疾患単位である. 発症の機序はいまだ不明であるが, その頻度は欧米に比較してアジア諸国では少ない. 本症候群の瘻孔症状やTullio現象は上半規管の刺激によって生じるため特徴的な眼球偏倚がみられる. つまり時計回りまたは反時計回りの回旋成分を含んだ垂直性の動きであり, 上半規管が正に刺激されると上方に, 負に刺激されると下方に眼球が偏倚する. 難聴は伝音難聴 (気導—骨導差) も感音難聴も生じうる. その他, 前庭誘発筋電位 (Vestibular evoked myogenic potential) 検査において振幅の増大と反応閾値の低下がみられる. 画像診断には側頭骨HRCT (high resolution CT) が用いられる. 上半規管裂隙症候群の診断ではスライス幅0.5-1.0mmの冠状断CTが有用とされているが, CTのみでは裂隙の診断に限界があり, false positiveに注意しなければならない. false positiveを排除するためには神経耳科学的検査で上半規管瘻孔を示唆する眼球運動の確認が必要である.
原著
  • 山中 敏彰, 福田 多介彦, 澤井 八千代, 城田 志保, 清水 直樹, 村井 孝行, 岡本 英之, 藤田 信哉, 細井 裕司
    2011 年 114 巻 1 号 p. 24-29
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル フリー
    目的: メタボリックシンドロームは脳卒中や狭心症などの動脈硬化性疾患の危険性を高める病態として注目されている臨床概念である. 今回, メタボリックシンドロームとめまい疾患の関連性を臨床的に調べ, めまいの発症背景に関わるリスク因子について検討した.
    対象と方法: 当科を受診しためまい症例333例 (男性107例, 女性226例; 平均58.6歳) を対象にしてわが国の診断基準に基づいてメタボリック症候群を診断し, その有病率 (メタボ率) を調査した.
    結果: メタボリックシンドロームは44例の13.2%に認められた. メタボ率について男女別にみると, 男性は107例中32例の29.9%, 女性は226例中12例の5.3%となり, 大きな性差が示され女性より男性に多く認められた. メタボリックシンドロームの合併が最も多かった疾患はVBIで, 28例のうち8例の28.6%に認められた. 次いで, VBI疑い (21.2%), メニエール病 (14.8%), 原因不明のいわゆるめまい症 (13.8%) が続いた. それに対し, メタボ率が最も低かったのは起立性調節障害 (起立性低血圧を含む) で, 5.3%であった.
    結論: 今回の調査により, 男性においてはメタボリックシンドロームがめまい発症のリスク評価として有用と思われ, 特にVBIではめまい発症の背景に同シンドロームの存在がうかがわれる. 実際にメタボリックシンドロームがめまい発生のリスクファクターになっているかを解明するために, 今後, 一般住民を対象にしためまい発症に対する前向きの長期疫学調査が望まれる.
  • 金沢 佑治, 菊地 正弘, 内藤 泰, 篠原 尚吾, 藤原 敬三, 十名 洋介, 山崎 博司, 栗原 理紗
    2011 年 114 巻 1 号 p. 30-33
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/07/12
    ジャーナル フリー
    気道症状のみを呈した再発性多発性軟骨炎 (relapsing polychondritis: RP)の1例を経験した. 症例は呼吸苦を主訴に来院した65歳男性である. 喉頭ファイバースコープで声門下狭窄およびCT検査でびまん性気管狭窄を認めたが膜様部が正常であり, RPが疑われた. 気管切開術を施行し, 同時に気管軟骨から生検を行ったが, 病理組織学的には軟骨の骨化像のみで確定診断が得られなかった. そこで視触診上は異常のない耳介軟骨を生検したところ, 軟骨組織の過去の破壊を示唆する所見がみられ, RPと診断した. ステロイドの投与を行ったところ, 気道狭窄は速やかに改善した. 臨床症状が少なくRPの診断が困難な例では, 耳介軟骨生検を試みるべきである.
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