日本耳鼻咽喉科学会会報
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総説
嚥下障害の保存的治療
—根拠のある嚥下リハビリテーションの実践を目指して—
大前 由紀雄
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2011 年 114 巻 2 号 p. 66-71

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抄録

QOLの向上が求められる中, 嚥下障害に対するリハビリテーション (嚥下リハ) が注目されている. 嚥下リハは, 主として代償法を用いた摂食訓練を通じて効果を上げてきた. 一方, 嚥下の生理学に基づいて運動負荷をかけることで嚥下機能の改善を目指したいくつかの訓練法が報告され, その効果に対する検証も蓄積されつつある. しかしながら, 嚥下リハが必ずしも医学的根拠をもって選択し実践されているとは言い難い. 効果的な嚥下リハを実施するためには, 嚥下障害の病態を把握し適切な対処法を選択することが不可欠である. このためには, 嚥下内視鏡検査や嚥下造影検査が優れた検査法となる. 耳鼻咽喉科医は, 嚥下に関連する器官を扱う専門家として, 嚥下内視鏡検査や嚥下造影検査を実施し, 嚥下リハの選択や指導に関わることが必要である. 本稿では, 嚥下機能検査の所見に基づいて医学的根拠をもって嚥下リハを選択し実施するための留意点を, 最近の知見を踏まえて概説する.

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© 2011 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
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