日本耳鼻咽喉科学会会報
Online ISSN : 1883-0854
Print ISSN : 0030-6622
ISSN-L : 0030-6622
原著
統合失調症にみられた一過性聴覚失認の1症例
神崎 仁原田 竜彦神崎 晶
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 114 巻 3 号 p. 133-138

詳細
抄録

統合失調症にて通院加療中の30歳女性にみられた一過性の聴覚失認例を報告した.
主訴は「きこえが悪い」であったが, よく聴取すると, 「音は分かるが, 何を言っているか分からない」というものであった. 環境音とことばの判別もつかなかった. 純音聴力検査は正常であったが, 語音弁別検査は異常を示した. OAE, ABRには異常なかった. 病歴から祖父母の介護がストレスとなり, 発症したと思われた. 環境を変え, 抗不安薬の内服により, 語音弁別の異常は短期間で改善した. 本例の聴覚障害と統合失調症との関連について考察した.

著者関連情報
© 2011 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top