日本耳鼻咽喉科学会会報
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原著
リン酸カルシウムセメントによる裂隙閉鎖を行った上半規管裂隙症候群の1例
林 寿光青木 光広山田 南星久世 文也水田 啓介伊藤 八次
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2011 年 114 巻 6 号 p. 568-572

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抄録

右耳に上半規管裂隙を有し, 裂隙を閉鎖し治療した33歳男性症例を提示する. 3年前から騒音環境下にいるとめまいが起き, その後咳をする間もめまいと右耳閉感に悩まされ続けてきた. 標準純音聴力検査にて右耳低周波数域における気骨導差を認め, Tullio現象は陽性, Valsalva法にて垂直回旋混合性の眼振を認めた. 側頭骨CT検査にて右上半規管頂部の骨欠損が同定され, 上半規管裂隙症候群と診断された. 中頭蓋窩アプローチにより裂隙部を明視下に置き, リン酸カルシウムセメントによる裂隙修復を行った結果, 2年半以上にわたり前庭および蝸牛症状の寛解が得られている.

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© 2011 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
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