日本耳鼻咽喉科学会会報
Online ISSN : 1883-0854
Print ISSN : 0030-6622
ISSN-L : 0030-6622
114 巻 , 6 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
総説
  • 吉開 泰信
    2011 年 114 巻 6 号 p. 539-546
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/10
    ジャーナル フリー
    T細胞は胸腺で分化して, T細胞レセプター (TCR) で自己の主要組織適合性抗原 (MHC) に提示された抗原を認識してサイトカイン産生や細胞障害活性を通じて, 免疫応答の中心的役割を担う. MHCクラスIIに結合したペプチドを認識する典型的なヘルパーCD4Th細胞はそのサイトカイン産生の特徴によってIFN-γ (γインターフェロン) を産生するTh1細胞, IL-4 (インターロイキン4) を産生するTh2細胞, IL-17を産生するTh17細胞, TGFβ/IL-10を産生する調節性Treg細胞に分類される. さらに最近はIL-9を産生するTh9細胞やIL-22を産生するTh22細胞, リンパ節のB細胞濾胞に局在するIL-21産生Tfh (follicular helper) 細胞などのサブセットの存在も提唱されている. MHCクラスIaに結合したペプチドを認識する典型的なヘルパーCD8T細胞は, 短い寿命のエフェクターT細胞, 末梢へホーミングするエフェクターメモリーT細胞, リンパ節にとどまりIL-2を産生して増殖するセントラルメモリーT細胞に分類され, パーフォリン, グランザイムを産生して細胞障害活性を示す. これらの典型的なCD4/CD8T細胞と異なる自然免疫T細胞 (innate T cells) は, 多型性に乏しいMHCクラスIb様分子に提示される核酸代謝物や糖脂質などペプチド以外の微生物抗原や自己抗原をクロスして認識する. NK関連レセプターやメモリー型の表面形質をもつことが特徴であり, クローン増殖なしにTCR刺激で早期に活性化されエフェクター分子を発現する点で自然免疫に近いT細胞と考えられ, NKT細胞, γδ型T細胞, MAIT細胞, MHCクラスIb拘束性CD8T細胞などがある.
  • 吉岡 哲志
    2011 年 114 巻 6 号 p. 547-556
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/10
    ジャーナル フリー
    耳管は, 中耳の換気, 異物排除, 病原体からの防御の3機能をもつ. これらの機能傷害によって各種中耳疾患が惹起されるため, 耳管の形態・機能の検討は重要である. しかし耳管は顔面深部に位置し, 生体におけるその検討は, 従来困難を極めた. 特に形態学的な検討は, 先人による検討のほとんどは屍体標本を利用している. これらの検討では, 生体の状況を反映しておらず, また多数の標本をもとにした検討は困難であった. 一方, 多列検出器型CTは, 等方的で空間分解能に優れた画像を高速で取得する. CT技術を耳管の検討に適用することにより, 生体における耳管の描出, 形態学的研究に新たな知見が加わる. 特に最新の320列面検出器型CTでは, 動的な評価も可能である. 本稿では多列検出器型CTによる耳管の形態と機能の解析について, 一般的な知識と最新の知見について概説した. まず, マルチスライスCTによる耳管の描出例を, 画像解剖とともに示し, バルサルバ負荷撮影により軟部組織がより明瞭に描出できることを示した. 次に, マルチスライスCTにより, 耳管の立体解剖学的計測が可能であることを示し, 同手法により明らかになった年齢と計測値の具体的な関係について示した. 最後に, 高速多列面検出器型CTにより, 時間的に連続した立体画像データが取得でき, 耳管の動的な解析に利用できることを示し, 嚥下時および, 耳管開放症患者の鼻すすり時の耳管運動について例示した.
原著
  • 片岡 祐子, 福島 邦博, 前田 幸英, 菅谷 明子, 長安 吏江, 増田 游, 西崎 和則
    2011 年 114 巻 6 号 p. 557-561
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/10
    ジャーナル フリー
    新生児聴覚スクリーニング検査導入以後, 乳児期および幼児期早期に難聴の確定診断がされ, 療育が行われる例が増加した. しかし, 乳幼児期に難聴が進行する児や, 新生児期には難聴が認められなかったにもかかわらず遅発性に難聴を発症した児が存在することが報告され, その割合は難聴児の4-30%に及ぶとされている. 進行性および遅発性難聴児の中に, 難聴の危険因子を予見できない児が少数ながら存在することも明らかになっている. 今回われわれは1998年4月から2007年3月までに出生した岡山県在住の小児で, 2008年4月までに当院で人工内耳埋込み術を行った45例の中から乳幼児期に進行性および遅発性難聴が認められた10例 (人工内耳装用児中の22.2%) を抽出し, 新生児期に危険因子をもたないと考えられていた6例について詳細に検討した. 6例中3例では, 難聴進行後に画像検査にて前庭水管拡大症が発見されたが, 他の3例の原因は不明であった. 対象数は少ないが, 新生児期に難聴の危険因子をもたない半数に画像検査で前庭水管拡大症が発見されたことにより, 可能な限り画像検査を行うことが難聴増悪の早期発見の点から望ましいと考えられた. また, 進行性難聴や新生児聴覚スクリーニング検査にパスした場合でも乳幼児期に遅発性難聴となる可能性があることを念頭に置き, 就学前までは定期的な聴覚検査や現在自治体で行われている健診における聴覚に関する質問事項や検査の充実なども考慮すべきである.
  • 五島 史行, 守本 倫子, 大原 卓哉, 本村 朋子, 泰地 秀信
    2011 年 114 巻 6 号 p. 562-567
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/10
    ジャーナル フリー
    小児のめまい患者はそれほど頻度の多くない疾患である. これまで日本ではさまざまな統計が報告されている. 特に起立性調節障害の頻度が高いという報告が多い. 海外の報告ではBPV (小児良性発作性めまい症: Benign paroxysmal vertigo of childhood) の頻度が最も高いといわれている. 今回このBPVに着目し成育医療研究センター耳鼻咽喉科めまい外来におけるBPVの臨床統計および臨床的特徴について検討を加えた. 2009年7月から2010年6月までの間に受診した男児5例, 女児7例を対象とした (年齢は4歳から15歳 (平均年齢9.5±3.1歳)). 診断はBPVが8例, 起立性調節障害2例, 内耳炎2例, 遅発性内リンパ水腫一例, 転換性障害一例 (重複有り) であった. BPVは小児のめまいで最も頻度が高いものであった. 本疾患は片頭痛または家族歴に片頭痛を認め起立性調節障害との合併も多く認めた. また器質的, 機能的異常を認めないのが特徴である. そのため診断に当たっては問診が重要である. BPVの診断基準を熟知し, めまい発作の際の状況や片頭痛の有無, 片頭痛の家族歴など本疾患の臨床的特徴を考慮した上で問診を行うことが重要である.
  • 林 寿光, 青木 光広, 山田 南星, 久世 文也, 水田 啓介, 伊藤 八次
    2011 年 114 巻 6 号 p. 568-572
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/10
    ジャーナル フリー
    右耳に上半規管裂隙を有し, 裂隙を閉鎖し治療した33歳男性症例を提示する. 3年前から騒音環境下にいるとめまいが起き, その後咳をする間もめまいと右耳閉感に悩まされ続けてきた. 標準純音聴力検査にて右耳低周波数域における気骨導差を認め, Tullio現象は陽性, Valsalva法にて垂直回旋混合性の眼振を認めた. 側頭骨CT検査にて右上半規管頂部の骨欠損が同定され, 上半規管裂隙症候群と診断された. 中頭蓋窩アプローチにより裂隙部を明視下に置き, リン酸カルシウムセメントによる裂隙修復を行った結果, 2年半以上にわたり前庭および蝸牛症状の寛解が得られている.
専門講座
feedback
Top