2012 年 115 巻 10 号 p. 910-916
頸部リンパ節転移が鎖骨下静脈へ浸潤した例では一般的に手術適応外とされることが多い. また静脈角への転移リンパ節が大きく可動制限がある例では, 視野確保が十分でなく, 大血管損傷の危険性があるため摘出術が回避されることもある. われわれは静脈角や鎖骨下静脈に原発腫瘍や転移リンパ節が癒着・浸潤した10症例に対して手術を行った. 鎖骨は切除もしくは受動し, 視野を確保した. 胸鎖関節を温存し鎖骨・第一肋骨間切離後鎖骨を挙上する方法を4例に, 鎖骨を内側2/3摘出する方法を6例に用いた. 全例で大血管の損傷なく安全に確実に摘出できた. 左側の1例で術後乳び漏が生じた.