日本耳鼻咽喉科学会会報
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115 巻 , 10 号
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総説
  • 岡本 浩一郎
    2012 年 115 巻 10 号 p. 887-893
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/23
    ジャーナル フリー
    “外転神経麻痺”と“三叉神経第1枝 (V1) 領域の疼痛”の組み合わせはGradenigo症候群として知られ, 側頭骨錐体尖部 (以下, 錐体尖部) の病変を示唆する. Gradenigo症候群の患者のみならず, 耳鼻科的・眼科的疾患や脳病変の検索のために撮像されたCT・MRIで, 錐体尖部病変が認められることがある. これらの病変は, 耳鼻科的診察では直接視診・触診などすることができず, 内視鏡でも観察することが困難で, 生検なども容易ではない. 病変が積極的な耳鼻科的治療の対象か否かの判断に, 画像診断の果たす役割りが大きい.
    偶然発見される錐体尖部病変のうち, 治療的介入を要しない正常変異や病変は ‘Leave me alone’ lesionsといわれ, 介入を考慮する疾患と区別することが必要である. 偶然発見される代表的な ‘Leave me alone’ lesionsには(1)錐体尖蜂巣の左右差による非対称性錐体尖部骨髄, (2)錐体尖蜂巣内液体 (滲出液) 貯留, (3)脳瘤がある. これらの病態や疾患を, 耳鼻科的介入を考慮すべき錐体尖部 (破壊性) 病変と区別するためには, 錐体尖部の正常画像解剖の理解と, 日常臨床上重要な錐体尖部 (破壊性) 病変の画像所見の知識が必要である.
原著
  • 岩崎 聡, 吉村 豪兼, 武市 紀人, 佐藤 宏昭, 石川 浩太郎, 加我 君孝, 熊川 孝三, 長井 今日子, 古屋 信彦, 池園 哲郎, ...
    2012 年 115 巻 10 号 p. 894-901
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/23
    ジャーナル フリー
    Usher症候群のタイプ分類の診断における問題点について検討した. 13施設による多施設共同研究で, 6施設において平成22年11月から平成23年8月までの10カ月間でUsher症候群と臨床診断された26症例 (男性12名, 女性14名) を対象とした. 検査の実施率は純音聴力検査と遺伝子検査は100% (26/26例) であったが, 語音聴力検査, OAE, 眼振検査, 眼科検査が60~70% (15~19/26例), 前庭機能検査であるカロリックテスト (50%: 13/26例) と重心動揺検査 (30%: 8/26例) の実施率は低かった. タイプ1が10例 (38.5%), タイプ2が6例 (23.1%), タイプ3が10例 (38.5%) であった. 難聴の平均診断年齢は, タイプ1が1.1歳, タイプ2が25.7歳, タイプ3が44.4歳, 難聴の進行を自覚している症例は13例 (50%) で, うち9例 (69.2%) がタイプ3であった. 今回収集できたデータからタイプ分類を典型例と非典型例に分けると, 診断基準が比較的はっきりしているタイプ1 (70%: 7/10例), タイプ2 (83.3%: 5/6例) は非典型例が多かったのに対し, 曖昧な表現のタイプ3 (90%: 9/10例) は典型例が多かった. Usher症候群は難聴・夜盲の発症時期や難聴の進行やめまいの有無など臨床症状に多様性があるため, どの項目を重視して決めるかによって施設間でタイプ分類が異なることがあり得る. 今回施設間でのタイプ分類に違いが生じないため「Usher症候群タイプ分類のためのフローチャート」を作成し, 統一したタイプ分類の実施に有用であると考えられた.
  • 中原 晋, 吉野 邦俊, 藤井 隆, 上村 裕和, 鈴木 基之, 西山 謹司, 猪原 秀典
    2012 年 115 巻 10 号 p. 902-909
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/23
    ジャーナル フリー
    近年, 進行頭頸部癌に対して臓器温存を目的として化学放射線同時併用療法が多用されているが, この治療の問題点の一つである栄養障害に関して詳細に検討されている報告は少ない. 今回われわれは, 高用量シスプラチン (80mg/m2×3回: 合計240mg/m2 目標) による化学放射線同時併用療法を施行した下咽頭癌26例と, 同時期に放射線単独療法を施行した下咽頭癌26例を対象として, 治療期間中の栄養状態の変化を, 体重変化率, 血清アルブミン, 総リンパ球数, ヘモグロビンにより比較検討した. この中で, 最も信頼性が高い栄養評価指標は体重変化率であり, 治療開始前と比較すると治療終了時点では, 放射線単独療法群において3.8%, 化学放射線同時併用療法群においては8.1%の減少を認めた. 体重減少率から判断すると化学放射線同時併用療法群においては栄養管理の必要性が示唆されたが, 治療の完遂状況から判断すると有害事象による放射線照射の中断は皆無であり, かつシスプラチン総投与量の中央値は240mg/m2 であり満足できるものであった. また, 栄養摂取方法に関しても, 経管栄養を必要としたのは放射線単独療法群で2例 (7.7%), 化学放射線同時併用療法群で4例 (15.4%) と両群で有意差を認めなかったことより, 少なくとも下咽頭癌症例においては, 化学放射線同時併用療法前の胃瘻造設の有用性は乏しいと思われた.
  • 水田 啓介, 久世 文也, 山田 南星, 林 寿光, 青木 光広, 伊藤 八次
    2012 年 115 巻 10 号 p. 910-916
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/23
    ジャーナル フリー
    頸部リンパ節転移が鎖骨下静脈へ浸潤した例では一般的に手術適応外とされることが多い. また静脈角への転移リンパ節が大きく可動制限がある例では, 視野確保が十分でなく, 大血管損傷の危険性があるため摘出術が回避されることもある. われわれは静脈角や鎖骨下静脈に原発腫瘍や転移リンパ節が癒着・浸潤した10症例に対して手術を行った. 鎖骨は切除もしくは受動し, 視野を確保した. 胸鎖関節を温存し鎖骨・第一肋骨間切離後鎖骨を挙上する方法を4例に, 鎖骨を内側2/3摘出する方法を6例に用いた. 全例で大血管の損傷なく安全に確実に摘出できた. 左側の1例で術後乳び漏が生じた.
  • 勝部 泰彰, 塚原 清彰, 中村 一博, 稲垣 太郎, 清水 雅明, 豊村 文将, 吉田 知之
    2012 年 115 巻 10 号 p. 917-920
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/23
    ジャーナル フリー
    腎細胞癌は多発性遠隔転移の多い癌として知られているが, 頭頸部領域への転移の頻度は少ない. 頭頸部領域へ転移した腎細胞癌を2例経験したので報告する. 症例1は79歳男性, 腎細胞癌治療6年後に嗄声を主訴に受診し喉頭への転移を認めた. 切除後2年間再発は認めていない. 症例2は61歳女性, 腎細胞癌治療1年後に頸部違和感を主訴に受診し甲状腺への転移を認めた. 切除後2年6カ月再発は認めていない. 2例とも切除により良好なコントロールが得られている.
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