日本耳鼻咽喉科学会会報
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原著
過去5年間の頸部リンパ節腫脹に対する検討
内水 浩貴小林 俊樹森 恵莉山田 裕子柳 清
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2012 年 115 巻 5 号 p. 546-551

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抄録

【目的】頸部リンパ節腫脹を主訴で当科を受診した患者について検討し, さらにその結果をもとに頸部リンパ節腫脹を診療する上での注意点などについて検討を行った.
【対象・方法】2005年4月から2010年3月までの5年間に頸部リンパ節腫脹を主訴に当科を受診した134例を対象とし, 疾患の内訳, 初診時の年齢, 病悩期間, 疼痛との関係, 画像診断検査, 穿刺吸引細胞診, リンパ節生検, 確定診断までに要した日数について検討した.
【結果】134例中に炎症性疾患は109例81.3% (非特異的炎症96例, 特異的炎症13例), 悪性疾患は25例18.7% (転移性悪性腫瘍8例, 悪性リンパ腫17例) で認められた. 炎症性疾患群に比べ悪性疾患群では有意に病悩期間が長かった. さらに悪性疾患群に比べ炎症性疾患群では疼痛を認める症例が有意に多く認められ, 病悩期間が短い群ほど疼痛を認める症例が有意に多く認められた. 穿刺吸引細胞診は36例で施行されておりclass IIIと判定された7例すべてが, 最終的に悪性疾患と診断された. リンパ節生検は38例で施行され, 4例が転移性悪性腫瘍であった. 初診日から確定診断までに90日以上を要した症例が炎症性疾患で2例, 悪性疾患で2例認められた.
【結論】頸部リンパ節腫脹を来す疾患は多岐にわたるため, 判断が難しい症例に対しては積極的にリンパ節生検を施行し, 早期診断に努めることが重要である.

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© 2012 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
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