日本耳鼻咽喉科学会会報
Online ISSN : 1883-0854
Print ISSN : 0030-6622
ISSN-L : 0030-6622
原著
茨城県で発見されたコリネバクテリウム・ウルセランスの1症例
鎌田 知子畑中 章生田崎 彰久本田 圭司角田 篤信喜多村 健
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 115 巻 7 号 p. 682-686

詳細
抄録
飼い猫からジフテリア毒素産生性のCorynebacterium ulceransに感染した症例を経験した. 症例は51歳女性, 難治性の咽頭痛を主訴に来院し, 上咽頭後壁の厚い偽膜形成と黄色膿汁が認められた. 理学所見と患者の動物飼育歴よりC. ulcerans感染症の可能性を考え, マクロライド系抗菌薬にて治療したところ症状は速やかに改善した. 患者の咽頭の白苔および飼い猫の眼脂よりC. ulceransを検出し咽頭炎の起炎菌ならびに感染経路を確定することができた. C. ulceransは人獣共通感染症を引き起こす菌の一つであり, 本邦では本報告を含めて飼い猫からの感染例が数例報告されている. 偽膜性咽頭炎の鑑別診断には必ずC. ulcerans感染症を考慮し診察することが重要である.
著者関連情報
© 2012 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top