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日本耳鼻咽喉科学会会報
Vol. 115 (2012) No. 9 p. 823-829

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http://doi.org/10.3950/jibiinkoka.115.823

総説

小児領域における新しいワクチンの登場は, ワクチンで予防できる疾患 (VPD: Vaccine Preventable Diseases) を増やすことに成功した. 特に乳幼児期の重症細菌感染症の原因であるインフルエンザ菌b型 (ヒブ), 肺炎球菌に対するワクチンの普及は, 諸外国において, それらの疾患の著明な減少をもたらした. また, 社会全体の接種率の上昇により, 接種した個人がそれらの病気から守られるだけでなく, 何らかの理由でワクチン接種のできない個人をも守る集団免疫 (Herd Immunity) の効果によって, その疾患のコントロールに成功している. この様な事実に基づいて, 世界保健機関 (WHO) は, この2つのワクチンを世界のすべての子どもたちに接種すべきワクチンとして推奨している.
この2つのワクチンは, 耳鼻科領域においても重要であり, 特にヒブワクチンによる急性喉頭蓋炎の減少, また, 肺炎球菌ワクチンによる中耳炎, 副鼻腔炎の減少が報告されている. 米国に比べ, ヒブワクチンは約20年, 肺炎球菌ワクチンは約10年遅れて, 日本で, ようやくこれらのワクチン接種が可能となった現在, その接種率向上のための積極的, かつ継続的活動が必要であると考える.
また, さらなる新しいワクチンとして, 中耳炎, 副鼻腔炎の起因菌として重要な無莢膜型インフルエンザ菌を結合蛋白として使った10価の肺炎球菌ワクチン (日本では未販売), 尖圭コンジローマ, 喉頭乳頭腫などを来すヒトパピローマウイルスの血清型6, 11にも効果がある4価のヒトパピローマウイルスワクチンが接種可能である. これらの新しいワクチンの接種によって, これらの疾患の耳鼻科領域での予防が期待される.

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