抄録
経過観察中の両側難聴症例のうち, CTで両側蝸牛神経管狭窄を認めた5症例を報告した.
内耳道狭窄を合併していた症例は1例のみであった. 脳MRIを施行していた2例はいずれも頭蓋内病変も認められていた. 音への反応が不良で言葉の遅れを主訴に受診し, 聴力検査結果からAuditory neuropathy spectrum disorderが疑われた2症例は, 補聴器装用による言語訓練により明瞭度は不良であったが音声言語が獲得されていた. 内耳道狭窄を合併していた1例は, 音声言語の獲得はできていなかった. CTでの蝸牛神経管狭窄は, 蝸牛神経欠損あるいは低形成の所見であると考えられるが, その臨床経過は症例により異なっていた.