抄録
副鼻腔粘液嚢胞に起因する涙嚢炎は粘液嚢胞に対する治療のみでは改善しないことも多い. また, 粘液嚢胞や以前の手術等により涙道周囲に著明な解剖学的変化を認める場合は術前や術中の涙道評価が困難となる. 涙道狭窄や閉塞を合併した粘液嚢胞の4症例に対してわれわれは, 粘液嚢胞に対する開窓術に加え, ライトガイドや涙道内視鏡を利用したシリコンチューブ留置術や内視鏡下涙嚢鼻腔吻合術を同時に施行し, 良好な治療成績を得た. 従来は術者の経験や指先の感覚に頼っていた手技が迅速かつ安全に行えた. さらに, 粘液嚢胞と涙道に対する治療を一期的に行うことで患者負担も軽減できると考えられた.