日本耳鼻咽喉科学会会報
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総説
他科における最新の診断方法
―出生前診断―
臼井 規朗
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2013 年 116 巻 12 号 p. 1273-1281

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抄録

先天奇形による外科疾患を出生前に診断することは, 周産期管理や出生後早期からの治療を行う上で有用であるだけでなく, 胎児治療を行う上でも必要不可欠である.
トリソミーなどの染色体異常のスクリーニングには, 母体血清マーカー検査, 母体血中細胞フリー胎児DNA検査, 超音波ソフトマーカー検査などが用いられる. しかし, これらはあくまで非確定的な検査であり, 確定診断には羊水穿刺や絨毛採取, 臍帯穿刺などで得た胎児細胞の染色体検査を行う必要がある. また, これらの遺伝学的検査は遺伝カウンセリングを十分行い, インフォームド・コンセントを得た上で行わなければならない.
出生前画像診断は, 主として胎児超音波検査や胎児MRI検査によって行われる. 特に胎児超音波検査は, 胎児の数と妊娠週数の決定や, 胎児発育の評価, 胎児well-beingの評価, 羊水量の評価, 胎児スクリーニングなど, 幅広い目的で用いられている.
本稿では, 胎児超音波検査で出生前診断が可能なさまざまな先天性疾患について, 中枢神経系疾患, 頭頸部の疾患, 上気道・呼吸器系の疾患, 心・大血管系疾患, 消化器系疾患, 四肢・骨格の疾患など部位別に分けて, 胎児治療の知識も交えて解説する.

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© 2013 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
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