日本耳鼻咽喉科学会会報
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総説
先天性サイトメガロウイルス感染と聴力障害
小川 洋
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2013 年 116 巻 3 号 p. 140-146

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抄録
サイトメガロウイルス(CMV)はヘルペスウイルスに属し,免疫健常な宿主に感染した場合,無症候性または軽症の症状を呈するのみで,初感染後宿主の体内に潜伏感染し,生涯宿主と共存するという特徴を持つ.CMV 感染で問題となるのは胎内感染と,免疫不全に陥った場合における感染,再活性化である.聴覚障害は胎内感染によるものが主体である.CMV 胎内感染症は,先天性ウイルス感染症の中で,最も頻度が高いと言われ出生時無症候であっても,聴覚障害,精神発達遅滞などの障害を遅発性に引き起こすことが知られている.胎内感染に伴う神経症状では聴覚障害の頻度が高く,先天性高度難聴の原因としてCMV 感染が高い割合を示すことが明らかになってきた.本稿ではCMV の特徴とCMV 感染による聴覚障害の疫学,感染モデルにおける検討,治療に関して解説する.
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© 2013 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
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