日本耳鼻咽喉科学会会報
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116 巻 , 3 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
総説
  • 松本 有, 山岨 達也, 片岡 一則
    2013 年 116 巻 3 号 p. 133-139
    発行日: 2013/03/20
    公開日: 2013/06/28
    ジャーナル フリー
    ナノテクノロジーの医療応用の一つとして, ドラッグデリバリーシステム (Drug Delivery System: DDS) が大きな注目を集めている. われわれが開発している高分子ミセル型DDSは, 性質の異なる高分子鎖が連結されたブロック共重合体の自己組織化によって形成される粒径数十nmのナノ粒子であり, ちょうど天然のウイルスの大きさに匹敵する. 外殻はポリエチレングリコール (PEG) という生体適合性の高い親水性高分子で構成されており, 内核に抗癌剤をはじめさまざまな薬剤や核酸医薬を内包することができる. 本稿では「ナノバイオテクノロジーを応用した医療イノベーション」として, 既に臨床治験が進んでいる高分子ミセルについて解説するとともに, さらに高機能化を目指した次世代型DDS開発についても紹介する. また, 高分子ミセルに賦与したさまざまな機能を生体内で直接評価・証明し, DDS開発を加速する研究ツールとして新たに開発した生体内リアルタイム共焦点顕微鏡についても紹介する.
  • 小川 洋
    2013 年 116 巻 3 号 p. 140-146
    発行日: 2013/03/20
    公開日: 2013/06/28
    ジャーナル フリー
    サイトメガロウイルス(CMV)はヘルペスウイルスに属し,免疫健常な宿主に感染した場合,無症候性または軽症の症状を呈するのみで,初感染後宿主の体内に潜伏感染し,生涯宿主と共存するという特徴を持つ.CMV 感染で問題となるのは胎内感染と,免疫不全に陥った場合における感染,再活性化である.聴覚障害は胎内感染によるものが主体である.CMV 胎内感染症は,先天性ウイルス感染症の中で,最も頻度が高いと言われ出生時無症候であっても,聴覚障害,精神発達遅滞などの障害を遅発性に引き起こすことが知られている.胎内感染に伴う神経症状では聴覚障害の頻度が高く,先天性高度難聴の原因としてCMV 感染が高い割合を示すことが明らかになってきた.本稿ではCMV の特徴とCMV 感染による聴覚障害の疫学,感染モデルにおける検討,治療に関して解説する.
  • 肥塚 泉
    2013 年 116 巻 3 号 p. 147-153
    発行日: 2013/03/20
    公開日: 2013/06/28
    ジャーナル フリー
    一側前庭機能が急激に低下すると,激しいめまいや平衡障害が出現する(めまい急性期).めまい急性期は,前庭自律神経反射による嘔気や嘔吐を生じることが多いため,心身の安静,鎮暈薬や制吐薬などの薬物による対症療法が,治療の主体となる.急性期を脱しても,通常の前庭代償過程と比較して,めまい・平衡障害の程度が強い症例に対しては,めまいリハビリテーションが有用である.めまいリハビリテーションの主たる目的は,前庭代償の促進である.前庭機能の低下によって生じた,視覚情報・前庭情報間の乖離を是正するような訓練法が用いられることが多い.めまいリハビリテーションの開始時期については,急性期を脱し,安静時のめまいが消失した時点でなるべく早期に開始するのが良いと考えられている.めまいリハビリテーションのエビデンスに関しては,近年,メタ解析が加えられている.めまいリハビリテーションの施行に起因したと考えられる有害事象はなかった.その効果についても,おおむね有効であるという結果であった.また,各リハビリテーション法の間で,その効果に有意な差を認めなかった.前庭代償には前庭小脳が深くかかわっている.めまいリハビリテーションの施行に当たっては,前庭小脳において,実行された運動(眼球運動)に対する誤差信号として用いられる視覚刺激を十分に与えることが重要である.また,前庭小脳には短期の適応と長期の適応の2つの適応(記憶)機構が存在する.めまいリハビリテーションで十分な効果を得るには,長期の適応を誘導すべく,毎日連続して行うことが,小脳の生理学的側面からも重要と考えられる.めまい症の病因の1つとして,耳石器機能障害の関与が示唆されている.耳石器機能障害に起因するふらつきに対しても,半規管動眼反射の可塑性を促進するようなめまいリハビリテーションが有用と考えられる.
原著
  • 道場 隆博, 竹中 幸則, 曺 弘規, 山本 佳史, 喜井 正士, 中原 晋, 猪原 秀典
    2013 年 116 巻 3 号 p. 154-160
    発行日: 2013/03/20
    公開日: 2013/06/28
    ジャーナル フリー
    成人において頭頸部領域に発生する軟部肉腫は非常にまれな疾患である.1991年から2011年までに当科で治療を行った頭頸部軟部肉腫11例について,治療方法と予後を検討した.組織型内訳は横紋筋肉腫5例,脂肪肉腫2例,未分化肉腫2例,類上皮性血管内皮腫1例,悪性線維性組織球症1例であった.横紋筋肉腫に対しては,手術,化学療法,放射線療法による集学的治療を行った.横紋筋肉腫以外の肉腫では,手術可能例に対しては手術を施行し,手術の際の切除安全域に応じて術後補助療法を行った.手術不能例に対しては,放射線照射や化学療法を施行した.予後は組織型,腫瘍径,組織学的悪性度,病期によって規定されていた.
  • 荒井 康裕, 佐久間 直子, 佐野 大佑, 高橋 優宏, 松田 秀樹, 生駒 亮, 坂根 さやか, 丹羽 一友, 張 家正, 石戸谷 淳一
    2013 年 116 巻 3 号 p. 161-164
    発行日: 2013/03/20
    公開日: 2013/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は52歳女性. 中耳手術後に長期間を経て耳性髄液漏を発症し経乳突法で閉鎖をしたが, 術後8年後に側頭骨内髄膜脳瘤による耳性髄液漏が再発し, 経中頭蓋窩法にて瘻孔閉鎖を行った1例を経験した. 初回中耳手術により乳突洞天蓋に骨欠損を生じ, 長期的術後合併症として硬膜が破綻し髄液漏を生じたと推測された. それに対し瘻孔閉鎖術を施行したが, 術後8年後に側頭骨内髄膜脳瘤を生じ髄液漏が再発した. 経中頭蓋窩法で硬膜を縫合後, 側頭筋膜と有茎骨膜弁で被覆した上で脂肪組織を骨欠損部の中頭蓋窩底と乳突腔に挿入した. 術後2年を経過して, 髄液漏の再発はみられない.
  • 中野 友明, 金村 信明, 愛場 庸雅, 天津 久郎, 古下 尚美, 木下 彩子, 植村 剛
    2013 年 116 巻 3 号 p. 165-169
    発行日: 2013/03/20
    公開日: 2013/06/28
    ジャーナル フリー
    新生児の先天性腫瘍のうち最も多いのは奇形腫であるが, 口蓋, 咽頭から発生する奇形腫は非常にまれで, 200,000人に1人と言われている. 症例は胎児エコー検査にて口腔から突出する巨大腫瘍を指摘され, 当院へ母体搬送された. 出生前MRIにて腫瘍が大きく胎児が出生後に呼吸できない可能性が高いため, Ex utero intrapartum treatment (EXIT) について説明をしたが希望されなかった. 妊娠35週に帝王切開を施行し気管内挿管を試みるも困難なため, 局所麻酔下にて気管切開を行い気道が確保できた. その後, 2回にわたる手術で, 上咽頭から発生し口腔外へ突出した巨大奇形腫を完全に摘出できた1例を経験したので報告する.
  • 蔦 佳明, 村田 清高
    2013 年 116 巻 3 号 p. 170-173
    発行日: 2013/03/20
    公開日: 2013/06/28
    ジャーナル フリー
    内視鏡下鼻内副鼻腔手術法として, 下鼻甲介粘膜下経由上顎洞篩骨洞手術を1993年日本耳鼻咽喉科学会会報に発表した. 本術式は下鼻甲介粘膜下骨切除術を行い, 鼻涙管と下鼻甲介を一塊として左右に揺れる状態にさせ, 膜様部の処理を行う手術である. 原法では粘膜を切除する際に一部骨の露出が起こり, 術後痂皮形成に悩まされることがあり, 術式の改良を必要とした. 粘膜下下鼻甲介骨切除術の切開線を前後方向とし, 下鼻甲介粘膜を切除しないで上顎洞の大きさに見合った膜様部の開窓を行うことにより, 術後の痂皮形成が減少した. つまり術後の創傷治癒期間が原法より短縮できたので, 下鼻甲介粘膜下経由上顎洞篩骨洞手術変法の術式を紹介する.
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