日本耳鼻咽喉科学会会報
Online ISSN : 1883-0854
Print ISSN : 0030-6622
ISSN-L : 0030-6622
原著
初回 MRI で偽陰性だった脳幹・小脳梗塞症例の検討
浦口 健介假谷 伸岡 愛子津村 宗近石原 久司宮武 智実平田 裕二牧原 靖一郎西﨑 和則
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 119 巻 10 号 p. 1290-1299

詳細
抄録

 脳幹・小脳梗塞は耳鼻咽喉科に関連するさまざまな脳神経障害を来すことが知られている. 急性期脳梗塞は早期治療を目的に MRI の拡散強調像 (DWI) で評価されるが, 急性期の場合は DWI が偽陰性になることがあり脳神経障害の精査のため耳鼻咽喉科を受診することがある. 香川労災病院に脳幹・小脳梗塞のため入院した245人250例を対象とし, 初回 DWI で偽陰性だった脳幹・小脳梗塞の16症例について検討した. 初回 DWI 偽陰性は脳幹梗塞12例, 小脳梗塞3例, 脳幹・小脳梗塞1例であった. 16例全例が12時間以内に初回 DWI 撮影をされていた. 250例中めまいや嚥下障害の精査目的で耳鼻咽喉科を受診し脳幹・小脳梗塞と診断された耳鼻咽喉科診断例は8例あり, そのうち3例が初回 DWI偽陰性であった. 初回 DWI で梗塞像がないが脳梗塞が疑われる場合は定期的な神経診察や DWI 再検をする必要がある.

著者関連情報
© 2016 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top