2016 年 119 巻 5 号 p. 734-740
2009年から2011年に sequential chemoradiotherapy (SCRT) で治療した stage Ⅳ A 以上の進行頭頸部癌 (AHNC, advanced head and neck cancer) 33症例の治療効果と予後を検討した. SCRT は, 導入化学療法 (ICT) の反復後に, 連続して同時化学放射線療法 (CCRT) を行うもので, 著者らは ICT として TPF (ドセタキセル, シスプラチンと 5-FU) を反復し, CCRT として放射線療法にドセタキセルとシスプラチンを併用した. その後は, 2週投与1週休薬のサイクルで TS-1 の内服を継続した. 治療による奏効率は61%, 3年粗生存率は42%で, 無担癌生存が27%, 担癌生存が15%であった. 治療が著効して無担癌状態になった14症例の3年粗生存率は86%で, 著効に至らなかった19症例の低い生存率と比べて有意差があった. 著効する症例を ICT 後の効果判定で見極め, 著効症例にはさらに TPF を反復して治療強度を強めれば, AHNC であっても長期生存が可能と思われた. また, TS-1 長期内服による癌の再増殖抑制も長期生存に寄与したと考える.