2019 年 122 巻 1 号 p. 52-58
耳管開放症の診断においては, 上半規管裂隙症候群の鑑別が必要である. 今回, 両側耳管開放症の発症後にめまい症状を生じ, 左上半規管裂隙症候群が発見された症例を経験した. 症例は50歳女性. 1年前から両耳に臥位で改善する自声強聴を自覚していた. 1カ月前から左自声強聴に伴った浮動感が出現した. 体位変換耳管機能検査にて両側開放型であり, 両側耳管開放症と診断した. VEMP 検査で左耳の振幅増大と反応閾値の低下を認め, 側頭骨 CT で左上半規管上部に骨欠損が確認された. VEMP および CT 所見から上半規管裂隙症候群と診断した. 耳管開放症に対する保存的治療を先行したところめまい症状は軽快した.