日本耳鼻咽喉科学会会報
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総説
メニエール病の診断と治療
將積 日出夫
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2019 年 122 巻 9 号 p. 1191-1197

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抄録

 メニエール病の治療はめまい発作期と間欠期治療に分けられる. 発作期では, 7%重層水静注, 制吐薬などが用いられ, 難聴合併例では副腎皮質ステロイド薬が併用される. 発作予防を目的とする間欠期の治療では, 従来, 保存的治療, 外科的・前庭機能破壊的治療 (内リンパ嚢開放術, 内耳中毒物質鼓室内注入法, 前庭神経切断術) が行われてきた. 保存的治療として生活指導 (ストレス回避, 有酸素運動), 水分摂取療法, 浸透圧利尿薬, 利水剤を中心とした漢方薬があり, 浸透圧利尿薬と漢方薬の併用で効果が期待できるものがある. 中耳加圧治療は低侵襲の新しい治療法である. 近年, メニエール病の治療選択として保存的治療と外科的前庭破壊的治療の間に中耳加圧治療を入れた段階的治療法が報告されている. 中耳加圧治療器として欧米製の Meniett® と本邦の鼓膜マッサージ機があり, 本邦でも臨床研究でめまいに対する治療効果が報告された. 中耳加圧装置は経済産業省の受託研究により開発された新しい治療器で, 小型, 軽量, コンピュータ化された点が特徴である. 企業治験結果を基に2017年に薬事承認され, 2018年に中耳加圧装置を用いた中耳加圧治療は保険収載された.

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