日本耳鼻咽喉科学会会報
Online ISSN : 1883-0854
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原著
吹奏楽器演奏時における鼻咽腔閉鎖機能不全に対して上咽頭脂肪注入が奏効した例
森下 大樹佐野 大佑荒井 康裕磯野 泰大田辺 輝彦稲毛 まな折舘 伸彦
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2019 年 123 巻 3 号 p. 251-256

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抄録

 Stress Velopharyngeal Insufficiency/Incompetence (SVPI; 吹奏楽器の演奏時のみ呼気が鼻腔より抜けることで演奏に支障を来す病態) の1例を経験したので報告する. 症例は19歳, 男性. クラリネット演奏時のみ鼻から空気が漏れ, 吹き続けられないため, 当科を受診した. ファイバースコピーでは, 頬ふくらまし時にアデノイドの小隆起の左側より呼気の漏出を認めた. 全身麻酔下, 上咽頭脂肪注入を施行したところ, 呼気の漏出と症状は消失し, 術後1年再発を認めていない. 本邦において耳鼻咽喉科医師の中でも認知度が低いと思われる SVPI について文献的考察を加え,症例提示する.

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© 2019 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
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