日本耳鼻咽喉科学会会報
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原著
耳鼻咽喉科定期健康診断で難聴を疑われた小中学生の検討
増田 佐和子臼井 智子
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2021 年 124 巻 2 号 p. 103-108

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抄録

 わが国では学校で定期的に健康診断が行われており, 耳鼻咽喉科健康診断もこれに含まれて実施されている. 今回, 学校健診から難聴を疑われて耳鼻咽喉科を受診した小中学生の検討を行った. 対象は201例 (男児86例・女児115例) で, 平均年齢は8.6歳であった. 聴力に関する診断結果の内訳は, 両側感音性難聴8%, 両側伝音性難聴3%, 一側感音性難聴21%, 一側伝音性難聴15%, 一側感音性難聴と機能性難聴合併1%, 機能性難聴29%, 正常23%であった. 両側感音性難聴7例, 一側感音性難聴16例は, 新生児聴覚スクリーニングをパスしていたことが確認された. 両側感音性難聴17例のうち12例が補聴器の適応と診断され, 7例が補聴器装用に至った. 両側伝音性難聴7例のうち中耳奇形1例, 一側伝音性難聴30例のうち中耳奇形3例, 中耳真珠腫6例, コレステリン肉芽腫1例の計11例が手術治療に至った. 機能性難聴は7~8歳児に多く, 女児が76%を占めた. 新生児聴覚スクリーニングや乳幼児健診により難聴の早期発見が進んでいるが, 学校健診は小中学生の難聴の発見と治療介入に有用であり, 重要な機会であると考えられた.

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