日本耳鼻咽喉科学会会報
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谷型突発難聴の検討
武林 悟浅井 美洋野末 道彦峯田 周幸竹下 有竹山 昌孝黄永 信理細川 誠二渡辺 高弘
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1997 年 100 巻 3 号 p. 295-298

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抄録

近年, 突発難聴で発症する聴神経腫瘍 (SDAN) の存在が知られているが, 今回我々は, SDANと突発性難聴 (SD) の聴力像を谷型を中心に比較検討した.
1984-1992年の9年間に, 浜松医大と関連4病院を受診したSDAN13例とSD493例を比較すると, 谷型はSDAN中10例 (77%, 以下谷型AN), SD中40例 (8%, 以下谷型SD) を占め, この差は統計的に有意であった (Fisherの直後確率計算法).
谷型ANと谷型SDの各周波数別聴力レベルを比較検討すると, 谷型ANでは125, 250, 500Hzが, 谷型SDに比べ障害されにくかった (p<0.001 t検定).
谷型の突発難聴, 特に低音域障害の軽微な例は, 聴神経腫瘍の存在を考慮しなければならない.

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