1997 年 100 巻 3 号 p. 342-350
レーザードップラー振動計と複合顕微鏡を組み合わせた計測システムを用い, モルモットの中耳振動様式を検討した. 直径20μmのグラスマイクロビーズを置いた鼓膜の4点および各耳小骨の6点の振動速度を入力音圧60dBSPL下に測定した. 鼓膜の4点の速度は, 0.1kHz~3kHzでそれぞれ異なった. 低音域では, ツチ骨・キヌタ骨はツチ骨頭とキヌタ骨短脚を結ぶ軸の近傍を中心に回旋運動を示した. 中音域では, 耳小骨全体が鼓膜方向にピストン運動を示した. 高音域では, ツチ骨とキヌタ骨は耳小骨に垂直の軸の近傍を中心に回旋運動を示し, アブミ骨は蝶板様運動を示した.