日本耳鼻咽喉科学会会報
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MRI高速脂肪信号抑制法による頸部リンパ節の存在診断について
沖田 渉佐々木 徹高松 俊輔吉田 克也石橋 敏夫水野 正浩
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1999 年 102 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

(発表目的) 頭頸部腫瘍の画像診断において頸部リンパ節の検索は必須である. 軟部組織濃度分解能が優れているMRIはこれに適しており, 特に特殊撮像法である脂肪信号抑制法は頸部の周囲脂肪信号を抑制してリンパ節を明瞭に描出するのに有効であるが, 撮像に長時間を要し, 改善が求められていた. 最近これを解決して短時間で撮像が完了する高速脂肪信号抑制法 (turbo-STIR) が開発された. これをわれわれの頭頸部腫瘍症例で使用し, その有用性を検討することを目的とする.
(対象・方法) 国立東静病院と東大分院において治療した各種頭頸部腫瘍15例を対象とし, 治療前画像診断にMRI従来法とturbo-STIRを行った. 両者において, 頸部リンパ節の描出に差があるかを検討した.
(結果) MRI従来法ではリンパ節と周囲の筋組織と信号が類似し, 判別が困難な例がみられたが, turbo-STIRではリンパ節周囲の脂肪信号が選択的に抑制され, リンパ節は高信号となって筋との信号差を生じ, 短時間に明瞭な描出が可能であった. しかし転移性, 非転移性の鑑別はturbo-STIRのみでは困難であった.
(結論) turbo-STIRは頸部リンパ節を短時間に明瞭に撮像できる. 従来の画像診断と併用すればより確実な頸部リンパ節の存在診断に応用できると考える.

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