日本耳鼻咽喉科学会会報
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ベル麻痺に対するアシクロビル-プレドニゾロン併用内服療法
羽藤 直人本多 伸光暁 清文村上 信五青野 央柳原 尚明
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2000 年 103 巻 2 号 p. 133-138

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抄録

近年ベル麻痺の病因として単純ヘルペスウイルスの関与が強く示唆されるようになり,海外ではベル麻痺に対し,抗ウイスル剤であるアシクロビルが使用されつつある.一方,ベル麻痺に対する大量ステロイド療法の有用性は明らかであるが,副作用があり入院治療が必要であるなど問題点も残されている.著者らは,より病因に即した治療法であり,かつ外来で内服治療可能なアシクロビル-プレドゾロン併用療法を,愛媛大学医学部耳鼻咽喉科外来において1995年10月から98年12月の間施行した.アシクロビルは2000mg/dayを1週間,プレドニゾロは初回量を40~60mg(1mg/kg/日)とし2週間で漸減し経口投与した.顔面表筋運動スコアが20点以下で発症1週以内のベル麻痺69例に対し,本併用内服治を行った結果,95.7%と良好な治癒率を得た.特に,発症3日以内の早期治療始例においては治癒率100%と,従来行っていたプレドニン単独療法と比較し有に良好な成績であった.また,早期治療開始例では早期治癒傾向が認められ,痺悪化予防効果が示唆された.一方,帯状庖疹ウイルスの再活性化が病因でありながら,耳介に帯状疱疹を伴わずベル麻痺として治療されるzoster sine her-Peteに対しても本治療は有効であった.アシクロビル-プレドニゾロン併用療法は重篤な副作用もなく,麻痺発症3日以内のベル麻痺に対しては,本邦においても今後普及されるべき治療法と考える.

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