従来,我々が提唱してきたCTスコアおよびそれに基づく改善度スコアは,慢性副鼻腔炎の術前術後に一洞単位で評価する方法として簡便で再現性が高い.この評価法を定量測定した結果と比較しその有用性や問題点を明らかとしたので報告する.
1996年4月から1997年4月までの1年間に京都府立医科大学附属病院耳鼻咽喉科にて内視鏡下鼻内副鼻腔手術(以下ESS)を施行した258洞を対象とした.
副鼻腔CTの陰影がほとんどないものから,陰影が約50%未満,約50%以上,ほとんど陰影が充満しているものまでCTスコア0から3へと4段階に評価し,さらに術前術後のCTスコアを比較し,不変,増悪したものを改善度スコア0,CTスコアが1段階改善したものを改善度スコア1,2段階以上改善あるいは術後CTスコア0のものを改善度スコア2と3段階に評価した.画像定量解析はCTをパソコンに取り込み,その陰影の占める比率を算出し陰影率とした.
画像定量解析では微細な陰影も捉えるためCTスコアと比較すると一部不一致も認められるが,おおむね正の相関が得られた.前頭洞などの小さな副鼻腔や少量の陰影については評価を誤りやすく注意が必要である.改善度スコアと術前術後の陰影率の差の間にも良好な相関を見た.
CTスコア•改善度スコアは過去に報告されている他の評価方法と比べても差を認めず,同程度の精度で妥当な評価が可能であった.
今回我々が検討した副鼻腔CT所見の簡易的評価法は利便性と再現性さらに満足できる精度を考慮に入れると,日常臨床での簡便なStage分類としての有用性は十分あると考えられた.
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