日本耳鼻咽喉科学会会報
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前庭水管拡大を伴った小児難聴症例
遺伝的背景から新たなPDS遺伝子変異が確認された1家系
清水 謙祐坪井 康浩東野 哲也小宗 静男阿部 聡子新川 秀一塚本 耕二宇佐美 真一
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2002 年 105 巻 2 号 p. 174-177

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抄録

前庭水管拡大症 (EVA) は感音難聴とめまいをきたす内耳奇形の一種であり, 近年その原因としてPDS遺伝子の関与が注目されている. 当科で7年間経過観察を行っていた小児EVA症例の伯母とその息子に難聴があり, 側頭骨CT, MRI検査で前庭水管拡大を認めた. 遺伝的な背景を考慮してこの家系のPDS遺伝子変異を検索したところ, 2種類の新たなPDS遺伝子変異 (S610X, S657N) が確認された. 種々の難聴遺伝子が明らかになってきた現在, 小児難聴の診断には, 聴力検査や画像検査などとともに遺伝的背景の重要性を再認識する必要がある.

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