日本耳鼻咽喉科学会会報
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頸部壊死性軟部組織感染症例の1例
宇高 毅藤吉 達也吉田 雅文牧嶋 和見土生 秀明
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2003 年 106 巻 9 号 p. 884-887

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抄録

62歳女性の頸部壊死性軟部組織感染症を経験した.本症例では,初診時CTで右咽頭側壁から頸部に多数のガス像を認めていたが,特徴的膿瘍所見が明瞭でなかったため,まず保存的治療を選択した.いったんは炎症所見が軽快したものの,再増悪したため排膿手術を行った.膿瘍は前胸部から右上腕部や左腋窩部に及んでいたが,重篤な合併症を併発することなく,約2カ月で治癒した.本症例と文献的考察より,頸部壊死性軟部組織感染症は,通常の深頸部膿瘍のように一つの間隙を中心に膿瘍を形成,拡大するというより,むしろ炎症が間隙を広く浸潤していく病態であり,その発癒に本来は常在菌であるミレリ連鎖球菌が関与している可能性が示唆された.

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