日本耳鼻咽喉科学会会報
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腕頭動脈蛇行症例における気管切開術
堀 容子橋本 省香取 幸夫小岩 哲夫朴沢 孝治小林 俊光
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2004 年 107 巻 2 号 p. 152-155

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抄録

気管切開術において大血管の損傷は致命的となる危険性がある.我々は,腕頭動脈が気管前面を蛇行している症例の気管切開術を経験した.症例は74歳女性で,筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対する人工呼吸器管理に備え,気管孔作製を希望し当科紹介となった.初診時,前頸部に血管性腫瘤と思われる腫脹と拍動を認めたため血管走行異常を疑い,MRIおよびMRAにて腕頭動脈蛇行症が確認された.手術は全身麻酔下に行い.変位した腕頭動脈を確認した後気管前壁を逆U字形に開窓し,そのフラップを動脈を保護するように皮膚と縫合した.頸部大血管の蛇行症はさほどまれではないと思われ,気管切開術施行時にはその可能性を念頭に置いておくべきと考える.

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