目的:小児上気道感染症に対する治療方針がdrug resistant S. pneumoniae(DRSP), ampicillin (ABPC)耐性H. influenzaeの検出頻度に与える影響を検討した.
対象:1995年,1999年,2001年,2003年に小児上気道感染症症例より得られたS. pneumoniae 263株,H. influenzae 327株.
方法:小児上気道感染症に対する治療方針を2000年を境としてセフェム系抗生物質(CEPs)よりペニシリン系抗生物質(PCs)中心の治療に切り替え,DRSP,ABPC耐性H. influenzaeの検出頻度の変化を検討した.
結果:DRSPの検出頻度は1995年30%から1999年60%に倍増したが,その後2001年37%,2003年39%と両年とも1999年と比較し有意に減少した.ABPC耐性H. influenzaeの検出頻度は1995年26%,1999年36%と微増したが,その後2001年59%,2003年71%と両年とも1999年と比較し有意に増加した.細菌感染症で他院小児科への入院治療を要した症例を検討したところ,1999年の入院症例では検出されなかったABPC耐性H. influenzaeが,2000年10名中2名(20%),2001年12名中3名(25%),2003年10名中4名(40%)にみられ検出頻度が増加する傾向を認めた.
結論:CEPs中心の治療方針によりDRSP,PCs中心の治療方針によりABPC耐性H. influenzaeが増加する可能性が示された.
抄録全体を表示