日本耳鼻咽喉科学会会報
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107 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 竹村 考史, 鮫島 靖浩, 湯本 英二
    2004 年 107 巻 2 号 p. 133-138
    発行日: 2004/02/20
    公開日: 2008/12/15
    ジャーナル フリー
    保存的治療で改善しない難治性の誤嚥性肺炎患者に対して,誤嚥防止術が施行されているが,その術後QOLを評価した報告はほとんどない.我々は1994年から2001年までの8年間に,誤嚥性肺炎患者16名に対して喉頭全摘出術•.喉頭気管分離術気管食道吻合術を行い,QOLの改善度を評価した.方法として,手術前後の肺炎スコア炎症状態(白血球数•C-reactive protein•血沈),栄養状態(ヘマトクリット Body Mass lndex•血清総蛋白血清アルブミン),生活活動度Barthel lndex,精神状態(Self-Rating Depression Scale•Face scale),栄養摂取法,手術に対する満足度(Visual Analogue Scale)について評価した.結果は,誤嚥性肺炎は16名中14名において減少させることができた.また,ある程度以上の経口摂取が16名中13名で可能となり,また栄薬状態炎症状態精神状態なども有意に改善した,手術に対する満足度も患苦•家族とも80%以上と大変満足された.結論として,誤嚥防止術により難治性誤嚥性肺炎患者のQOLを改善させることができた.
  • 八尾 和雄, 岡本 牧人, 中山 明仁, 竹田 昌彦, 正来 隆, 橋本 大門, 上條 貴裕
    2004 年 107 巻 2 号 p. 139-144
    発行日: 2004/02/20
    公開日: 2008/12/15
    ジャーナル フリー
    上顎洞癌の治療である北里方式で治療した症例の予後の判定としてリンパ球を主とした小円形細胞浸潤の間質反応の程度を検討し,術前照射8Gyの間質反応に与える影響からその重要性を述べた.(対象)1976年から2002年までに本法で治療した74症例のうち,(1)術前照射前に組織標本の得られた17例と(2)5年生存例および特定原因死亡例を含む40例である.(方法)(1)評価基準に従った間質反応の変化を術前後の比較で各症例の予後を示した.(2)間質反応の程度と予後を統計学的に検討した.(結果)(1)8Gy照射で間質反応の基準が増強した症例,術前2+の評価を術後も維持できた症例,共に良好な経過を認めた.(2)手術標本で2+の評価を示した症例に5年生存例を有意に多く認めた.(結論)北里方式は,QOLを満たす有効的治療法で,使用する少量の放射線量,化学療法剤量いずれも腫瘍に対するBiological response modifiersと考えられた.ただし手術は肉眼的に腫瘍が認められなくなるまで摘出し,細胞レベルで癌が残存したとしても残存癌細胞の増殖力より,温存した組織中の腫瘍抵抗性が勝るという状態にすることが重要である.
  • 中村 将裕, 石井 正則, 丹羽 洋二, 山崎 ももこ, 伊藤 洋
    2004 年 107 巻 2 号 p. 145-151
    発行日: 2004/02/20
    公開日: 2008/12/15
    ジャーナル フリー
    病院内における転倒転落事故は深刻な問題であり,その原因の一つとして睡眠導入剤服用後のふらつきが指摘されている1)2)動物実験によれば,ベンゾジアゼピン(BZP)系睡眠導入薬の薬理作用の一つである筋弛緩作用の関与が推測されている.しかし,ヒトにおける睡眠導入薬服用後の体平衡の経時的変化についてこれまでに報告はみられない.そこで比較的筋弛緩作用が弱いとされている長時間作動性睡眠導入薬クアゼパム(ドラール〓)を使用して服薬後の静的平衡機能について検討した.実験は,インフォームドコンセントを得た健康成人8人に対して,リモート足圧センサー(GANGAS)を用いて,服薬後の静的平衡機能検査(Mann test, Romberg test)およひ,薬剤血中濃度を経時的に測定した.結果は,クアゼパム服用後にふらつきが認められ,とくに不安定な姿勢で顕著であった.
    服薬後のふらつきは,クアゼパムの薬物受容体を考え合わせると,筋弛緩作用とは考えにくく,覚醒に関係する中枢からの抑制が影響しているものと考えられた.また,服薬後のふらつきはその薬剤の血中濃度と相関が強いことが分かった.
  • 堀 容子, 橋本 省, 香取 幸夫, 小岩 哲夫, 朴沢 孝治, 小林 俊光
    2004 年 107 巻 2 号 p. 152-155
    発行日: 2004/02/20
    公開日: 2008/12/15
    ジャーナル フリー
    気管切開術において大血管の損傷は致命的となる危険性がある.我々は,腕頭動脈が気管前面を蛇行している症例の気管切開術を経験した.症例は74歳女性で,筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対する人工呼吸器管理に備え,気管孔作製を希望し当科紹介となった.初診時,前頸部に血管性腫瘤と思われる腫脹と拍動を認めたため血管走行異常を疑い,MRIおよびMRAにて腕頭動脈蛇行症が確認された.手術は全身麻酔下に行い.変位した腕頭動脈を確認した後気管前壁を逆U字形に開窓し,そのフラップを動脈を保護するように皮膚と縫合した.頸部大血管の蛇行症はさほどまれではないと思われ,気管切開術施行時にはその可能性を念頭に置いておくべきと考える.
  • 冨山 道夫
    2004 年 107 巻 2 号 p. 156-168
    発行日: 2004/02/20
    公開日: 2008/12/15
    ジャーナル フリー
    目的:小児上気道感染症に対する治療方針がdrug resistant S. pneumoniae(DRSP), ampicillin (ABPC)耐性H. influenzaeの検出頻度に与える影響を検討した.
    対象:1995年,1999年,2001年,2003年に小児上気道感染症症例より得られたS. pneumoniae 263株,H. influenzae 327株.
    方法:小児上気道感染症に対する治療方針を2000年を境としてセフェム系抗生物質(CEPs)よりペニシリン系抗生物質(PCs)中心の治療に切り替え,DRSP,ABPC耐性H. influenzaeの検出頻度の変化を検討した.
    結果:DRSPの検出頻度は1995年30%から1999年60%に倍増したが,その後2001年37%,2003年39%と両年とも1999年と比較し有意に減少した.ABPC耐性H. influenzaeの検出頻度は1995年26%,1999年36%と微増したが,その後2001年59%,2003年71%と両年とも1999年と比較し有意に増加した.細菌感染症で他院小児科への入院治療を要した症例を検討したところ,1999年の入院症例では検出されなかったABPC耐性H. influenzaeが,2000年10名中2名(20%),2001年12名中3名(25%),2003年10名中4名(40%)にみられ検出頻度が増加する傾向を認めた.
    結論:CEPs中心の治療方針によりDRSP,PCs中心の治療方針によりABPC耐性H. influenzaeが増加する可能性が示された.
  • 重症急性呼吸器症候群(SARS)
    大石 和徳
    2004 年 107 巻 2 号 p. 170-173
    発行日: 2004/02/20
    公開日: 2008/12/15
    ジャーナル フリー
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