日本耳鼻咽喉科学会会報
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自動ABR(natus-ALGOR Portable)を用いた新生児聴覚スクリーニングの検討
川島 慶之芝原 緯佐子安部 志乃戸叶 尚史野口 佳裕喜多 村健
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2004 年 107 巻 5 号 p. 483-488

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抄録

1. 賛育会病院にて2002年2月から2003年4月の間に出生した一般病棟の新生児727例,およびNICUの新生児99例の計826例に自動ABR(natus-ALGOR Portable)を用いた聴覚スクリーニングを実施した.両側高度難聴児は1例であった.
2. ALGO Portableにて検査した際のREFER率,測定時間はALGO 2eでの結果報告と同程度であった.
3. 携帯性,経済性に関してALGO Portableは有用と考えられた.
4. NICUで測定した症例のうち難聴リスク因子のある症例とない症例で比較すると,リスク因子のある症例で有意に掃引回数が増加した.
5. 一般病棟とNICUで比較するとREFER症例およびリスク因子をもつ症例を除外した上でもNICUでは有意に掃引回数が多く,NICUの環境が掃引回数を増加させた可能性が示唆された.
6. 生後2日目から6日目まで日齢別の掃引回数に有意差は認めなかった.
7. 自動ABRにて偽陰性を疑わせる症例があり,PASS例でもその後のフォローアップが重要であると考えられた.

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