日本耳鼻咽喉科学会会報
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鼻アレルギー鼻汁の免疫グロブリン分画とreagin活性について
大台 道夫
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1971 年 74 巻 1 号 p. 93-104

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抄録
すでに, 鼻アレルギー (以下鼻ア) 鼻汁のreagin活性と, その反応の特異性については, Remington, 田端らの報告がみられる. そこで鼻ア鼻汁をDEAE-Cellulose, Sephadex G-200, DEAE-Sephadex A-50などのcolumn chromatographyにより, 鼻汁タンパク, ことに, 免疫グロブリン分画とreagin活性との関係を知る目的で実験をおこなった.
1) Sephadex G-200のゲル〓過により分画した結果, γA分画中のγA量とreagin活性は平行していることがわかった. しかし, さらにDEAE-Sephadex A-50により分画すると, reagin活性はγA分画にのみ存在し, γA分画中のγA量とreagin活性は, かならずしも, 平行していないことを知った.
2) DEAE-Celluloseによるchromatographyをおこなって鼻汁γAを分離し, 超遠心分析をおこなった. その結果, 鼻汁γA分画は6.9S成分と11.8S成分に大別された. reagin活性は6.9SγA分画に存在し, 11.8SγA分画には存在しなかった. reagin活性を有する6.9SγA分画を, 抗γA血清で吸収しても, なおreagin活性は存在した.
以上のことは, γA, γG以外のγ-グロブリン分画にreagin活性が存在していることを示唆したものと考える.
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