日本耳鼻咽喉科学会会報
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74 巻, 1 号
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  • 杉山 正夫, 山本 馨
    1971 年 74 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 1971/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    (目的) 化学療法の発達普及に伴い, 慢性中耳炎病巣より分離されるSt. aureusが増加して来た. これはSt. aureusが他の菌に比べて多剤耐性化しやすいためである. そこで慢性中耳炎病巣内で (i) St. aureusは, どのようにして多剤耐性化するのか, (ii) St. aureusは長くとどまっているのか, あるいは, 常に変動しているのか, (iii) phage typeによって術後経過が異るのか, 又, 薬剤感受性や病巣の乾燥に対する強さが異るのかを知る目的で本実験を行った.
    (実験方法) 慢性中耳炎患者の術後経過の良好であった症例の術前に分離された, St. aureus, 又, 術後経過の悪かった症例の術前, 術中, 術後より分離されたSt. aureus, 又, 1人の患者より頻回に分離されたSt. aureusについて, phage typingと薬剤感受性検査を行い, 更に, こうしてphage typeのわかったSt. aureusについて乾燥実験を行い, 慢性中耳炎病巣における, St. aureusの動態について推察した.
    (結果) 1. 当科の慢性中耳炎患者の耳漏より分離されたSt. aureus 158株についてphage typingを施行した. 型別不能群61株 (38.6%), III群52株 (32.9%), I群20株 (12.7%), 混合群19株, II群5株, IV群1株であった. そうして術前耳と術後耳より分離されたSt. aureusのphage型の間には差が認められなかった.
    2. 術前にSt. aureusが分離され術後も経過が悪く続いてSt. aureusが分離された症例8例中, 5例は術前, 術後に同じphage型の菌が分離された. これらの症例では術前の菌が術創で増殖したものと推定される.
    3. 術後良好例と悪化例の術前に分離されたSt. aureusのphage型の間には特別な差は見当らなかった. 又, 薬剤感受性にも差は認められなかった.
    4. 当科の慢性中耳炎患者の耳漏より分離されるSt. aureusの77.6%が3剤以上に耐性になっており, ほとんど同じ薬剤の組合せで多剤耐性になっていた。これらは溶原phageによって多剤耐性化されたのでないかという可能性を示唆するものである.
    5. St. aureusのphage型と乾燥に対する抵抗性との間に差は認められなかった. 又, St. aureusは裸の状態で乾燥されるよりも, 何らかのもので周囲を囲まれて乾燥される方が乾燥に対して強いことが認められた.
    これらのことから術前のSt. aureusのphage型や, その抗生剤に対する感受性などは, 術後経過を決める主要な因子ではないと考えられる. しかし, 術後経過が悪化した症例では, 術創に残した菌が何らかの役割をはたしている場合が多い. 又, 慢性中耳炎の病巣内に存在するSt. aureusは, 病巣が乾燥しても空中や器具についているSt. aureurよりは長く生存するのでないかと推察される.
  • 杉山 正夫, 山本 馨
    1971 年 74 巻 1 号 p. 15-27
    発行日: 1971/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    (目的) 慢性中耳炎病巣より手術前に緑膿菌が分離されると, 術後経過が悪い例が多いと言われ, 又, ひとたび緑膿菌が慢性中耳炎病巣に感染すると長い間にわたって緑膿菌が分離される例がある. これらの症例において, 同じ緑膿菌が長くとどまっているのか, 経過の途中で新しく緑膿菌が感染するのか, 又, 緑膿菌のTypeによつて中耳炎の病巣の状態が異るのかを知り, 慢性中耳炎の治療指針を得るために, 緑膿菌の感染巣における動態を知るべく本実験を行った.
    (実験方法) 慢性中耳炎患者の術後経過が良好であった症例の術前に分離された緑膿菌, 又, 術後経過の悪かった症例の術前, 術後より分離された緑膿菌, 又, 1人の患者より頻回に分離された緑膿菌についてSero-typingと薬剤感染性検査を行った.
    (結果) 1. 当科の慢性中耳炎患者より分離された緑膿菌にはT-5が圧倒的に多かった. 他の血清型は, ほぼ平均していた.
    2. これら緑膿菌は抗生剤に対する感受性については, 血清型によって差は認められなかった. 又, 慢性中耳炎手術後の経過良好例と悪化例の両者に分離された緑膿菌について, 抗生剤の感受性には差がなかった.
    3. 術前に緑膿菌が分離され, 術後も経過が悪く, 緑膿菌が分離された症例22例中, 術後に術前と同じ血清型の緑膿菌が分離された症例は18例 (81.8%) であった. 又, これら術前, 術後に分離された同じ血清型の菌は各種の抗生剤に対しても, 同じ様なantibiogranを示した.
    4. 術前に緑膿菌が分離され, 術後経過が悪く続いて緑膿菌が分離された症例中, 術前, 術後に同じ血清型の緑膿菌が分離された症例は18例で, その内, T-5は11例 (61.6%) であった. 又, 術前に緑膿菌が分離され, 術後経過の良かった症例をat randomに50例選び, その50例中, T-5は15例 (30.0%) であった. この様に術後良好例, 悪化例共に術前菌にT-5が多った.
    これらのことから, 術前の感染細菌のTypeや, その抗生剤に対する態度のみが術後経過を決める主要な因子ではないと考えられる. しかし, 術後経過が悪化した症例では, 術創に残した菌が何らかの役割をはたしている場合が多い. 又, 術後悪化を起すのは, 術創に取残された菌種よりも, その残された菌が, どの様な環境に置かれているかと言う問題が重要であると思われる.
  • 斎藤 瑛
    1971 年 74 巻 1 号 p. 28-46
    発行日: 1971/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    著者は, 以前から正常者及び難聴者について不快レベルの測定を行って来ているが, 通常のオージオメータでは不足することが多い. その為, リオン製オージオメータA-1002DにブースタAE25を接続して出力を増強して検査を行っている. なお, 測定は純音で行っているが, 125Hz, 8000Hz, はブースタを使用してもスケール・アウトすることが多いので, 250Hz, 500Hz, 1000Hz, 2000Hz, 4000Hzを中心にその成績を分析してみた.
    従来, 諸家が指摘しているように不快レベルの個人差によるバラツキは, かなり大きいものであるが, 両耳間の差に着目すれば, 充分に臨床的に利用し得るものである.
    得られた結論は以下の如くである.
    (1) 正常者の不快レベルは個人差によるバラツキはかなり大きいが, その左右耳間の差は15dB以内である.
    (2) 感音性難聴では, 例えば, メニエル氏病では比較的低値で, 老人性難聴では高値で不快レベルが現れ, 低音性感音性難聴では, 不快レベルが広い範囲にバラツクというように, 難聴の種類により幾分, 不快レベルの現れ方に差がみられる.
    しかし, 一般的に云つて, 気導閾値の差が15dB以下であれば不快レベルの左右差が15dBを上まわることはない.
    それ以上の気導閾値の差があれば,
    気導閾値の左右差: 不快レベルの左右差
    65, 65dB: 20dB以下
    70, 75dB: 25dB以下
    80, 85, 90dB: 30dB以下
    95, 100dB: 35dB以下の関係があると推定される.
    (3) この成績をもとに, 聴神経腫瘍や膿幹部腫瘍による (いずれも第一次ニューロン障害) 後迷路性難聴例を検討すると1周波数を1例として90%の周波数が, この基準を上まわる値を示していた.
    なお, この場合, 聴力損失が軽度でも不快レベルの上昇が見られるので, 不快レベルの測定は聴神経や脳幹部腫瘍による難聴の早期診断にも役立つ.
    (4) 不快レベルの測定値と, バランステストの関係を平衡図の上で見てみると, 殆んどが一致した値を示していた.
    (5) 伝音性難聴では, 不快レベルの両耳間の差は気導閾値のそれの2分の1である.
    (6) 語音明瞭度と不快レベルの間には, ある程度関係があるが, バラツキが大きいので語音明瞭度は, 不快レベルのみで規定されるとは云えない.
    (7) 聴力障害を伴わないhyperacusisの症例の診断に不快レベルの測定が役立つことがある.
  • 小林 賢而
    1971 年 74 巻 1 号 p. 47-52_1
    発行日: 1971/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    一過性の音出力増強による大脳誘発反応の発現について検討した. 1000Hz, 自覚域値上20dBおよび60dBの純音を基音とし, これを0.5, 1, 1.5, 2, 3, 4, 6, 8dB増音した. 増音の持続時間は50msecで3秒に1回の割で増音し, これにより誘発される大脳誘発反応をcomputerで通常30回程度加算し, 反応の有無を判定した.
    正常成人16耳においては, 基音が自覚域値上20dBの場合は4dB増音で50%以上に反応が認められ, 6dB増音では90%に反応陽性であった. これに対し, 基音が自覚域値上60dBの場合には2dB増音ですでに陽性率は50%をこえ, 4dB増音では90%以上に反応が出現している.
    感音性難聴5例6耳について, 1000Hz, 自覚域値上20dBの音を基音として反応の有無を検討したが, 一般に正常耳に比べて少ない増音で反応が陽性となる傾向が認められた.
  • 三吉 康郎, 野々山 純, 井土 ふさ, 前田 太郎
    1971 年 74 巻 1 号 p. 53-58
    発行日: 1971/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    2例の極めて稀な側頭骨嚢腫を報告した. 2例とも側頭骨に巨大な嚢腫の形成が認めそれその内容は無菌的なリピオドール様の液体であった. 嚢腫壁の組織学的所見では上皮は扁平上皮と立方上皮からなり間質は形質細胞の浸潤とコレステリン結晶の針状痕が認められ異物巨細胞と血色素が散見される. 嚢腫壁に接する部は瘢痕性の結締織がみられ骨梁には骨増殖細胞と骨破壊細胞が認められた.
    これらの嚢腫の発生機点に関しで考察するに, 側頭骨の含気形成の発育途上で結締織や肉芽の増殖によって弧立化した1つの含気腔が嚢腫を形成し上皮性と思われる大型喰細胞の出現と破骨細胞による蜂窩骨梁の骨吸収によって嚢腫の拡大を生じて来るものと思惟する.
  • 徳永 修
    1971 年 74 巻 1 号 p. 59-76
    発行日: 1971/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    目的: 視運動性眼振と前庭系の関連は平衡生理上重要な課題である. 著者は三半規管ならびに耳石器官への加速度刺激が視運動性眼振に対して如何なる影響を及ぼすかを検討する目的で実験を行った.
    実験方法: 被験者20名2組を対象とした. 直線加速度刺激はparallel swingおよび, 左または右側方へ被験者を加速移動させることによって行った. 回転角加速度刺激は振子様回転および, 左または右回転によって行ない, 眼振発来のない所謂閾値以下刺激とした. 視運動性刺激は小型回転円筒を作成し, 被験者が坐る椅子に装着して, 被験者に対して常に一定の回転速度になるようにした. 視運動性刺激は皮質型と皮質下型に分けた. 皮質型については, 被験者静止時と加速度刺激時の視運動性眼振値を推計学的に比較した. 眼振の記録には電気眼振記録計 (時定数0.03, 2.0秒) を用いた.
    実験結果: (1) 皮質型視運動性眼振は, parallel swingまたは振子様回転がなされる時, 眼振数, 総振巾, 緩徐相速度において増加し, 特に最大緩徐相速度の上昇が著るしい. 皮質視運動領域の関与のため, 加速度刺激による迷路からの負の影響には打克つことが出来る. (2) 皮質下型視運性性眼振は, その緩徐相方向と加速度によって惹起される代償性眼球偏位の方向とが同一方向の時に促進され, 反対方向の時に抑制される. 従って, 皮質下型は前庭系の強い影響を受け, 強い関連性のあることが考えられる. (3) 視運動性と前庭性の刺激が同時になされる際の眼振の発現態度から, 眼筋自己受客器の関与も推測される. (4) 三半規管と耳石器管は共に視運動性眼振に対して同様の作用を有し, 直線加速度および閾値以下回転角加速度による代償性眼球偏位運動は共に, 眼振緩徐相に相当し, 眼振準備状態にあると考えられる.
  • PENG記録による検討
    高島 三喜
    1971 年 74 巻 1 号 p. 77-92
    発行日: 1971/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 電気性眼振検査を広く臨床的に利用すべく, 先ず従来肉眼観察にのみ頼つていた電気性眼振をPENG (Photcelectronystagmography) を使用して記録・分析を加えることによつて, その生理的並びに病的所見の特徴および判定規準, 他の実験的眼振検査との関連性等について検討し, 更に臨床的観点からその発現機構の一端をも解明せんとしたものである.
    正常例20例並びに病的症例37に, 両耳双極漸増的持続通電法による電気刺激を加え, 解発された電気性眼振のPENG記録を分析検討し, 以下の結論を得た.
    1) 正常例における電気性眼振反応は, 眼振解発閾値1-2mA, 閾値刺激時の眼振頻度2~3振盪/5秒・振幅値1-2°と非常に微細なものであり, これは6-8mAの強い刺激によって頻度は3~5振盪/5秒・振幅値は3-6°と増強しReversal Phenomenon (Pfaltz 1965) を繰返すことにより頻度・振幅値ともに著るしく増大するのが特徴的である.
    2) 本実験により観察された電気性眼振の異常所見を大別すると次のごとくになる. (i) 眼振解発閾値上昇, (ii) 眼振解発抑制または廃絶, (iii) galvanic DP, (iv) galvanic hyperexcitability. これ等の所見と障害部位との関連性について検討したところ, 特にgalvanic hyperexcitability現象が上部脳幹障害時に特異的な所見であることが判明し, 脳幹障害部位の局在診断に本検査が極めて有意義であることがわかった.
    3) 両側迷路摘出術を施行した症例にも電気性眼振の発現を認め, これをPENG記録により証明した. また温度性眼振解発中に電気刺激を附加してみると, 電気性眼振が前庭性眼振を〓活し同調する事実が判明した. これ等の臨床的観察結果から, 電気性眼振発現の責任部位は, 末梢迷路よりは上位の前庭系, 特に前庭神経に存するものと推論される.
    4) 電気性眼振を従来のENGで記録することは, 電流雑音の混入等種々のartifactが出現するため不可能であることが判明した. 従ってPENGこそは, 正確な電気性眼振記録が得られる唯一の記録法であるといえる.
  • 大台 道夫
    1971 年 74 巻 1 号 p. 93-104
    発行日: 1971/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    すでに, 鼻アレルギー (以下鼻ア) 鼻汁のreagin活性と, その反応の特異性については, Remington, 田端らの報告がみられる. そこで鼻ア鼻汁をDEAE-Cellulose, Sephadex G-200, DEAE-Sephadex A-50などのcolumn chromatographyにより, 鼻汁タンパク, ことに, 免疫グロブリン分画とreagin活性との関係を知る目的で実験をおこなった.
    1) Sephadex G-200のゲル〓過により分画した結果, γA分画中のγA量とreagin活性は平行していることがわかった. しかし, さらにDEAE-Sephadex A-50により分画すると, reagin活性はγA分画にのみ存在し, γA分画中のγA量とreagin活性は, かならずしも, 平行していないことを知った.
    2) DEAE-Celluloseによるchromatographyをおこなって鼻汁γAを分離し, 超遠心分析をおこなった. その結果, 鼻汁γA分画は6.9S成分と11.8S成分に大別された. reagin活性は6.9SγA分画に存在し, 11.8SγA分画には存在しなかった. reagin活性を有する6.9SγA分画を, 抗γA血清で吸収しても, なおreagin活性は存在した.
    以上のことは, γA, γG以外のγ-グロブリン分画にreagin活性が存在していることを示唆したものと考える.
  • 渡部 泰夫, 小田 隆造, 尾崎 正義, 池田 寛, 三好 敏之
    1971 年 74 巻 1 号 p. 105-113
    発行日: 1971/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    壊疽性鼻炎 (進行性鼻壊疽) は, 広い意味で用いられてきたが, Walton (1958~60) は, これを病理学的立場より明解に分類した. すなわち, (1) lethal midline granuloma, (2) Wegener's gran ulomatcsis, (3) reticulum cell sarcoma.
    私どもは, 極めて類似した臨床像を示した進行性鼻壊疽を2例報告した.
    第1例はWegener肉芽腫症であり, 第2例は最初Wegener肉芽腫と考えられたが, 末期になり, 鼻細網肉腫の組織所見を認めた.
    従来の文献には, 病理診断上, 不明確な例も多い. 統計的観察ではなく, 自験例2例より, 以下の知見を報告する.
    (1) 第1例は, 20才の女性であり, 主訴は全身倦怠感, 発熱であり, 内科医により胸部結核として治療をうけていたが, 数カ月後, 鼻閉, 鞍鼻を訴え, 腎生検によりWegener肉芽腫症と診断された. 約1年半後, 喀血にて死亡した.
    第2例は24才, 男子であり, 主訴は, 鼻閉, 悪臭であり, その後発熱, 口蓋の壊死をきたし, 約1年後, 腸管出血で死亡した.
    (2) 第1例 (Wegener肉芽腫症) と, 第2例 (鼻細網肉腫) は, その病理診断上の差異にかかわらず, 極めて類似した臨床症状を示す. すなわち, 鼻中隔の穿孔, 壊死, 鼻腔内の著しい痂皮形成, 鼻閉, 発熱, 全身倦怠感, 赤沈値亢進, γ-gl, α2-gl値の増加, IgA, IgG, の増加などである.
    (3) 両者の鑑別のためには, 臨床所見の変化の詳細な追求が, 大切であり, 潰瘍形成が進展する場合, 繰返し組織診断の必要がある.
    (4) Wegener肉芽腫症は, 肺, 腎, 脾と病変が進展するが, 同一の病因と考えられる結節性動脈周囲炎は, 腎が先に障害される一方, 上気道は変化がない. 今回の鼻細網肉腫は, 肝, 骨髄に転移したが肺には末期まで, 著変をみとめていない.
    (5) 鼻細網肉腫 (第2例) は, 病変が口蓋の全欠損までおよんだが鞍鼻はみとめられない. 一方, Wegener's granulomatosis (第1例) は鞍鼻は, 著しいが, 口蓋は最後まで変化を認めなかった.
    (6) 正しい治療を行うためには, 早期診断が不可欠であるが, hypersensitive reactionの病像のみでの過信は危険であり, 経過の慎重な検討が必要である.
    (7) Waltonの分類は, 病理学的な分類であり, 症状の面よりわけるとhypersensitive reactionを示すもの (Wegener肉芽腫症, reticulum cell sarcoma) と, 非特異的炎症反応を示すもの (lethal midline granuloma) にわけて, 整理する方がよいと考える.
  • 1971 年 74 巻 1 号 p. 114-135
    発行日: 1971/01/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
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