日本耳鼻咽喉科学会会報
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シェーグレン病におけるRIシアロシンチグラフィの診断的意義
唾液腺造影検査,口唇腺病理組織検査および眼科的検査との対比
安藤 真姿子
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キーワード: SjS病, 唾液腺機能
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1988 年 91 巻 7 号 p. 1054-1065

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抄録

シェーグレン病および各種膠原病症例145例について,RIシアロシンチグラフィ,シアログラフィ,口唇腺病理組織検査の耳鼻科的諸検査および眼科的にKCSの有無を診断し,それぞれの結果を比較検討して次の結果を得た.
(1) 唾液腺機能を知る検査法としてRIシァロシンチグラフィが有用で,パラメーターとして用いた99m Tc-O4投与5分後の摂取係数(Sl5),15分後の刺激分泌により排泄率(Ex),集積最高値における摂取率(Up)はいずれも診断上有用であることが判明した.特に摂取率はシアログラフィおよび口唇腺病理組織所見の程度とよく対応する.
(2) SjS病診断において,RIシアロシンチグラフィの摂取率は病変の推移を知る上で,繰り返しできる検査として,苦痛を伴いがちなシアログラフィに代用できうるものである.
(3) シアログラフィの程度分類で,明らかな導管拡張にまで至らない軽度な異常陰影群を一つのグループとして(±)群として取り扱うこととしたが,これは膠原病などのSjS病周辺疾患で出現頻度が高かった.
(4) シェーグレン病の診断ではKCS検索と耳鼻科的検索では異なる傾向があり,一つの検査のみ陽性の場合には,シアログラフィや口唇腺病理組織での軽度な変化についてより厳密に検索していくことが必要であると同時に,RIシアロシンチグラフィでのパラメーター,特に摂取率が重要なきめてになるものと考えられた.

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