日本耳鼻咽喉科学会会報
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頭部外傷による伝音連鎖障害
井上 都子井上 美知子安部 治彦
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キーワード: 頭部外傷, 伝音連鎖障害
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1988 年 91 巻 7 号 p. 1072-1077

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抄録

頭部外傷による伝音難聴19例に早期の手術を行った.
1. その結果,最も外傷を受けやすい耳小骨はツチ骨で,次いでキヌタ骨,アブミ骨の順であった.関節の障害はツチ•キヌタ関節の方がキヌタ•アブミ関節より多かった.
2. その成因について,骨折線の歪みが外力として上鼓室に作用し,ツチ•キヌタ関節の障害を起こし,一方では鼓膜に加わった衝撃がツチ骨に伝達されたためと推定した.
3. ツチ•キヌタ関節の傷害は自然回復が起こりやすいが,キヌタ•アブミ関節では自然回復が困難であるため,従来の報告と異なった結果となったと考えられる.

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