1993 年 96 巻 6 号 p. 903-913,1045
北里大学耳鼻咽喉科難聴外来を受診し, 特発性両側性感音難聴と診断されたのは127例であった. そのうち経過観察中に聴力の急速進行悪化した20例について検討した. これら急速進行例に対し突難に準じてステロイド, 高気圧酸素療法などによる治療を行った. 治療成績は突難に比して改善した症例の割合も少なかった. また, 聴力悪化・改善の程度も突難に比して小さかった. しかし早期に治療を開始すれば聴力の改善が期待できる症例もあった. 急速進行例の聴力変動様式も特難全体と同様に規則性を認めた.