1993 年 96 巻 6 号 p. 914-921,1047
143例の突発性難聴症例を統計学的に観察した. 若年者の予後は良好であるが, 高齢者の予後は良好ではなかった. 1年を通して発症月に3峰性のピークを認めた. また, 耳鳴と予後の関連は認めなかった. 一方, 予後が良好であったのは, 初診時平均聴力が良好なもの, 低音障害型, めまいを随伴しないものそして初診までの日数が7日以内のものであった.
多変量解析 (数量化理論II) を用いたところ, 初診時平均聴力, 初診までの日数, めまいそして高低音差の順に予後への影響が強く, 更に, これら4項目を基に78.3%の確率で予後の予測が可能であることが示された.