1994 年 97 巻 4 号 p. 668-673
4歳から74歳までの正常人165人(330耳)に対し耳管機能検査を行い,以下の結果を得た.
1) 小児では嚥下による耳管開閉持続時間は8歳頃から増大し始め,11歳で成人の値とほぼ同値となった.バルサルバ法による耳管開放圧は年齢とともに上昇し,10歳で成人の値とほぼ同値となった.これらのことより小児の圧依存型の耳管機能は10~11歳で成人の嚥下運動型の成人の機能へ移行すると推定された.
2) 成人では若年齢層と比較し,60歳以上で嚥下による耳管開閉持続時間は短縮し,50歳以上で耳管開放圧が上昇したことから,耳管機能の劣化が50歳以上で現れ始めると推定された.